2021.10.31

LIFESTYLE

スパークリングの品質はシャンパーニュにも匹敵! 今、飲むべきはイギリスワイン

世界的な気温の上昇により、ワインの世界にも様々な変化が生じている。その恩恵を受けているのがこれまで馴染みの薄かったイギリスワインだという。

世界のワインを育ててきた

地球温暖化によって、味わいのバランスや品種選択に変化のある伝統的な産地がある一方で、これまでは寒冷な気候だったがゆえに選択肢の限られていた新興産地が勢いを増す。そんな現象がワインの世界で起きている。その代表例がイギリス産のスパークリングワイン。いまや、ものによっては最高峰のシャンパーニュと価格も品質も互角という域に達している。

イギリスは、世界のワインを育ててきた国だ。英国の格式あるワイン商、教育機関、ジャーナリズム、研究家の判断がワインの価格、売れ行きを左右する。

ナイティンバークラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ 栽培から自社一貫生産で高品質スパークリングワインに特化。シャンパーニュ大手のようなブランディング戦略を行う。英国ワインのイメージ・リーダー的存在。長期熟成の深みとエレガンスさを両立させている。8800円。TYクリエイション Tel.03-5344-9031

歴史をみれば、ボルドーのワイン生産者にとって陸路よりも簡単に船でワインを運べるイギリス市場での評価は重要なもので、また14世紀に始まった百年戦争中は、フランスが敵国ならばとポルトガルのイギリス人がポートワインを生み出した。かつて英国領だった国々はいまやワインの名産地。シャンパーニュの輸入量は世界一だ。そもそも発泡性ワインの研究はイギリスが先鞭をつけ、シャンパーニュが発泡するようになったのも、イギリスへの輸送中に樽のなかでワインの温度が上がり発酵が再開したから、という説まである。

ガズボーン・エステイトブリュット・リザーヴ2016 自社畑のブドウから、収穫年を限定し長期熟成で造られる。ワイナリーのスタンダードレンジながら自信を感じさせる職人気質ぶりはブルゴーニュ的。多彩なワインを造り、本国ではスティルワインでも知られる。7700円。ベリー・ブラザーズ&ラッド Tel.03-3518-6730

スティルワインにも手応え

もともとケント州、イースト・サセックス州、ウェスト・サセックス州、ハンプシャー州といった英国南部は、氷河期以前はシャンパーニュ地方と地続きで、地質に共通項が多い。だがそれらの地域でも緯度は49~61度。ワイン用のブドウ栽培の北限とされる緯度50度より北だったことで、英国はその深いワイン愛と知識、優れた土壌をワイン造りに発揮できていなかった。

ハッシュ・ヒース・エステートバルフォアリバティーズ・バッカス  設立後まもなくロゼ・スパークリングが英国航空の1stクラスで採用されたケント州の造り手。スティルワインも日本で販売。風味豊かなブドウ、バッカスを使い、エレガントな酸とスパイシーさを特徴とする。3850円。トゥエンティーワンコミュニティ Tel.03-5413-3211

だが、ここ20年ほどの僅かな気温上昇が、ワインの庇護者を生産者ともした。現在のワイナリーは500軒、ブドウ栽培面積は2500ヘクタールを超えてなお増加中。日本で入手できるほとんどのワインが主力のスパークリングだが、すでにスティルワインにも手応えを感じている造り手もいる。

イギリスのスパークリングワインには、シャンパーニュ以上のオーセンティシティを表現するものもあれば、冷涼地ならではの利点を生かし、他産地では難しいほどの酸味を保持しながら熟度とのバランスを実現するものもある。新興産地の現代性と老練の風格。飲んでみれば、その両面に笑みがこぼれるに違いない。

チャペルダウンフリント・ドライ  英国ワイン産業の旗手のひとつ。スパークリングはもとより、スティルワインでも評価が高く、ジンやウォッカまで手掛ける大手。このワインは複数のブドウをブレンド。高い技術力が分かる骨太な白ワイン。2200円。ワインショップ西村 Tel.0799-20-4039

文=鈴木文彦

(ENGINE2021年11月号)

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