2021.10.10

CARS

272psを誇る1.6リッター直3ターボのトヨタGRヤリスが、エンジン・ホット100のトップ10にランクイン! その順位やいかに!!

雑誌『エンジン』の名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」の2021年版で、WRCカーを市販車に落とし込んだトヨタGRヤリスが第9位を獲得。272psを誇る1.6リッター直3ターボ、凝った4WD機構など、お宝満載のスーパー・コンパクト・ハッチバック! その魅力をホット100選考委員のコメントとともに紹介する。

あのトヨタが「感性に訴えかけるクルマ」をつくった!

“走りにウルサイ大人たち”の票を集めたGRヤリス。評価した評論家たちのコメントを見ると、「エンジンは3気筒でありながら力強く、洗練されたフィーリング」とか、「ラリーで走らせたい」といった、走り好きの一人として心を動かされたコメントも聞こえてくる。実際にハンドルを握って走りだすと、ドライバーはシートに収まる身体を通してクルマの挙動を感じ取り、運転操作がクルマの動きに反映され、情熱的なフィールとともに思い描いたラインを辿っていける。クルマと呼吸を合わせて走っていると、余計な事が頭から吹き飛び、何モノにも代えがたい快楽に目醒めさせてくれる。スペック主義でなく、走る悦びを得るのに欠かせない“感性に訴えかけるクルマづくり”に向けた真摯な取り組みが実を結んだ結果といえるだろう。



トヨタといえば、クルマづくりにおける独自の設計思想『TNGA(Toyota New Global Architecture)』の取り組みを通して、ユーザーにとって魅力的で価値ある商品を手頃な価格帯で提供することに力を注いできた。いまでは「いいクルマを作ろう」という豊田章男社長の号令とともに走りの基本性能を底上げし、取り組みの成果を実証してみせている。最新のHVユニットなどを惜しみなく投じたヤリスについても、いまのトヨタの強みが感じられる仕上がりだ。しかも、欧州が『環境車=クリーンディーゼル車』が主流だったころから、トヨタはHV車を幅広く展開し、電動化に取り組んできた。今では中国や欧州を中心にEVシフトが過熱気味とあって、従来のようにエンジン車のハイパフォーマンス・モデルを諦めるメーカーも少なくない。カーボン・ニュートラルが声高に宣言される中、GRヤリスのような走りが楽しいモデルが堂々とリリースされることは、もはや奇跡的だ。





指で持てるほど軽いバンパー

また、GRヤリスが専門家の心を捉えた背景には、コンパクト・ハッチバックの常識を逸している点が挙げられる。高剛性化したボディは徹底的な軽量化も行われており、中でも、1.6リッターターボ・エンジンは、このクラスで最軽量レベルの仕上がり。車体の中心から離れたバンパーに至っては、指で持てるほど軽いそうだ。また、GRヤリスはラリーで得た知見が取り入れられているが、レーシング・カーを量産車として提供するという逆のアプローチで作られた。

トヨタGRヤリス 全長×全幅×全高=3995×1805×1455mm。ホイールベース=2560mm。車両重量=1280kg。4WDモデルは1.6リッター直3ターボを搭載、最高出力272ps/6500rpm、最大トルク370Nm/3000~4600rpmを発生する。車両価格=265万円(FF)~456万円(4WD)

驚くべきは高剛性、高精度な組み上げを行うGRファクトリーの存在だ。ラリーのホモロゲーションを取得するには、ベース車両が年産2万5000台以上である必要があるが、この工場はその台数を組み上げるキャパシティを持っている。さらに、個々の車体の寸法、重さなどを計測し、それぞれに合わせて最適なバランスになるパーツを選んで組み合わせ、ありたき性能を発揮するために特別な工程を踏んで仕上げるのだ。Bセグ・ハッチバックで265~456万円は高価だが、個人ではできないことをメーカーが行うことを考えれば、決して高くはない。スポーツカーを提案するGRカンパニーの存在といい、柔軟性をもって特別なクルマを組み上げる工場など、「スポーツカーを作り続ける」というトヨタの覚悟が見える。

文=藤島知子 写真=茂呂幸正(黒)/篠原晃一(白)

(ENGINE2021年11月号)

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