2021.10.30

CARS

家族思いの広いリアシートと余裕の荷室 新型ゴルフに追加されたワゴン・ボディのヴァリアントは実用車の鑑!

ハッチバックに対して初めてホイールベースを延長するなど、これまで以上に気合が入っているように感じられる新しいゴルフ・ヴァリアント。ハッチバックの仕上がりは良好だったが、ワゴンの出来栄えは……? モータリングライターの高平高輝がリポートする。

歴代モデルで初めてホイールベースを延長、その恩恵は?

次は高性能版の「GTI」か、と思っていたら、ステーションワゴンの「ヴァリアント」が8代目の新型ゴルフ・ファミリーに加わった。



これまでのヴァリアント(最初のゴルフ・ワゴンはゴルフIIIで登場)は乱暴にいえばボディ後部を延ばしただけだったが、新型は歴代モデルで初めてハッチバックよりも50mm長い2670mmのホイールベースが与えられている。プロポーションも今風で、リア・ゲートはかなり傾斜がついており、実際よりも長く低く見える。先代ヴァリアントと比べるとホイールベースは35mm長く、全長は同じく65mm長い4640mmとなっている。新型のハッチバック比で全長は345mm長い。いっぽう全幅はハッチバックと同じ1790mm、全高は10mm高い1485mmだ。



リア・シートの足元スペースが拡大(欧州データの最大レッグルームは903mm→941mm)、ラゲージスペース容量もわずかだが大きくなっているとなれば、ハッチバックとの違いがより明確である。リア・オーバーハングの長さは先代とほとんど変わらないというから、当然ラゲージスペースの増加分はわずかである。新型の容量は611リッター(従来型ヴァリアントに対して6リッター増し)、リア・シートのバックレストを倒した最大時は1642リッターである(同22リッター増し)。もっとも例によってサスペンションなどの張り出しは最小限に抑えられており、フラットで使いやすい形状はこれまで通り、しかも床下にはスペースセイバーながらちゃんとスペアタイヤも収まっているのだ。実際に使う場合はこのフロア下スペースにもかなりの物が収納できる。





1リッター3気筒ターボと1.5リッター4気筒ターボに48Vマイルド・ハイブリッドを組み合わせたパワートレインや、各エンジンに2グレードで計4種類のモデル・ラインナップ、オプション・パッケージなどについてはハッチバックと事実上同じ。今回の試乗車は1リッター3気筒直噴ターボを積む「eTSIアクティブ」、車重はハッチバックの50kg増し、価格では14万円高である。

ワゴンのほうが洗練されている

大きく重くなっている分、110ps/5500rpmと200Nm/2000~3000rpmの1.0eTSIでは分が悪いだろうと心配していたが(試乗会の舞台は箱根)、意外にも不満を感じるほどではなかった。もちろん、きつい上り坂では思うように加速しない場面もあるが、普通に気持ちよく走るぐらいのペースならば問題になるほどではない。それよりも、ハッチバックのeTSIアクティブに比べて常用域でよりスムーズだったのが好印象、場合によって顔を覗かせた3気筒特有のバイブレーションもヴァリアントでは感じられなかった。





さらに乗り心地やハンドリングもこちらのほうがマイルドで洗練されている。長いホイールベースと前後の重量バランスのせいか(車検証の前後重量配分は58:42、ハッチバックの60:40より若干後ろ寄り)、まったり粘り強い挙動が特徴的で、フラット感やスタビリティは文句なし。さすがゴルフである。

家族を乗せて使うという向きには広いリア・シートと余裕の荷室が何よりの魅力だろうし、ボディサイズは依然として日本でも持て余さない寸法に収まっている。とにかくキビキビ走りたいという人でなければ、1リッターのヴァリアントで十分だと思う。

文=高平高輝 写真=宮門秀行

(ENGINE2021年11月号)

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