2021.10.26

CARS

数々の名車を生み出したベントレーのデザイン部門が設立70周年を迎えた

英国の高級車メーカー、ベントレーが現在本社のある英国クルーに自社のデザイン部門を設立してから2021年で70周年を迎えた。

かつての自動車メーカーはエンジンとシャシーを製造し、ボディワークは社外のコーチビルダーが担当する時代があった。その後、自動車メーカーがボディを内製に切り替え始めた頃、ベントレーはロールス・ロイス傘下にあったため、デザインは親会社と共有していた。

最初の作品はRタイプ・コンチネンタル

そんななか、独自性を主張したいベントレーは1951年にクルー本社に自前のデザイン部門を設置。この年に最初の作品であるRタイプ・コンチネンタルを発表する。デザインを担当したジョン・ブラッチリー氏は初期ベントレーを代表する、ブルートレインと呼ばれたスピードシックスのコーチビルドを請け負ったガーニー&ナッティングでチーフデザイナーを務めた経歴の持ち主だ。



当時、初期のデザインスケッチは水彩画で描かれ、他部門とのアイデアやビジョンの共有に用いられた。これを原寸、もしくは縮尺率の明確な三面図や平面図、断面図などに起こし、金属の骨組みとロウを用いた立体モデルで再現。その寸法と図面を照合して、スタイリングを作り上げた。

その後、スケッチの手法は変わり、立体モデルの素材はクレイへと移行。近年では計測にデジタル・スキャンを用いて精度を高め、VRやARといった先進技術も導入されているが、長年にわたり工程に大きな変化はなかった。



クルマだけでなく、家具や邸宅も

その長い歴史の中、ベントレーのデザイン部門はこの20年間で10倍の規模に拡大。クルマだけでなく自社のテイストを盛り込んだ家具や、高級車オーナー向け邸宅事業にも携わっている。目下の課題はベントレー初の電気自動車の開発。機械的な差別化が図りにくいだけに、これまで以上にデザインには力が入っているという。

その所在地名からピムスレーンとも呼び慣らされるベントレー本社施設は今も開発が進んでいる。重要度が増しているデザイン部門は数ヶ月以内に新たなスタジオを建設し、移転する計画だ。新たな拠点から生まれるベントレーのデザインが今後どのように進化するのか、じつに興味深い。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement