2021.11.12

LIFESTYLE

地球周回は一人約55億円! 宇宙旅行の気になるお値段

民間企業が提供する宇宙旅行がついに現実のものとなる中、気になるのはそのお値段。大金持ちでなくとも、宇宙に行ける時代は、いつ到来するのか?

日本人だけでもすでに数百人が予約

さる9月20日、スペースX社(イーロン・マスク氏創業)の「インスピレーション4」ミッションが成功を収め、世界的なニュースになった。史上初、民間人4名だけによる宇宙旅行は、3日間にわたり、地上約570キロメートルの宇宙空間を周回し、全員無事に地球に帰還した。国際宇宙ステーション(ISS)の高度が約400キロメートルだから、それよりさらに遠い宇宙空間で、約90分ごとに地球を一周する本格的な宇宙旅行であった。



で、気になる旅行代金だが、スペースX社も、代金を支払ったジャレッド・アイザックマン氏も、金額を明らかにしていない。ただ、米航空宇宙局NASAがスペースX社の宇宙船クルードラゴンを「チャーター」する際の費用から推測すると、米ドルで約2億ドル、日本円に換算して220億円程度だったのではないかと囁かれている。一人当たり約55億円ということで、これが現時点での地球周回旅行のお値段だ。



個人でこれだけの金額が払えるとなると、人類でもかなり数が限られてくるが、もう少し手頃な値段で宇宙体験をすることもできる。高度400キロメートルよりは低いものの、宇宙空間と定義されるのは高度80キロメートルもしくは100キロメートルなので、とにかくそこまで上昇して、自由落下で「無重力」を数分間、体験し、地球に戻ってくる宇宙ツアーがあるのだ。ヴァージン・ギャラクティック社(リチャード・ブランソン氏創業)とブルー・オリジン社(ジェフ・ベゾス氏創業)は、それぞれ7月に創業者自身がこのような宇宙ツアーを体験し、話題になった。

ヴァージン・ギャラクティック社の旅行代金は、当初は25万ドルだったが、8月の予約再開時には45万ドルに値上げされた(日本円で5000万円程度)。ブルー・オリジン社の旅行代金は20万ドルとされているが、今後、値上げがあるかもしれない。この価格帯になると、日本人だけでもすでに数百人が予約しているとされ、世界中で数千人が、今後数年以内に宇宙に行く可能性が出てきた。

いずれは100万円ほどに?

それでも、家が一軒買える価格であり、私のように毎月住宅ローンを払っている人間には高嶺の花だ。はたして、今後、宇宙旅行代金が安くなる可能性はあるのだろうか。そこで、参考例として、過去の海外旅行代金を調べてみた。いろいろな数字があるが、明治時代に船でヨーロッパに行くには、現在のお金に換算して数千万円はかかったようだ。日本人の海外渡航が自由化された昭和39年の海外旅行のお値段は、今のお金に換算して、数百万円程度で、12万人以上が渡航したという数字もある。

となると、旅行代金だけで言えば、数分の無重力体験が、ちょうど明治の海外旅行にあたる。数十年後には、宇宙旅行代金が、昭和中期の海外旅行並みになることは充分にありうる。もっとも、その頃になれば、数百億円払って、今度は月や火星にまで足を延ばす人が出てくるのだろうが。



ところで、一つ面白い試算がある。将来、ロケットではなく、「宇宙エレベーター」が建設された暁には、宇宙旅行代金が現在の95%オフになるというのである。つまり、数千万円が100万円程度になるわけだ。地球と静止衛星をケーブルでつなぎ、人や物資を輸送できるようにする宇宙エレベーターの話は、まだSFの領域かもしれないが、個人的には、本当に100万円まで値段が下がってきたら、宇宙に行ってもいいと思う。

さて、読者のみなさんは、いくらまで旅行代金が下がってきたら、宇宙に行きますか?

文=竹内薫(サイエンス作家)

(ENGINE2021年12月号)

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