2021.10.26

CARS

航空機の次は宇宙へ ホンダが未来に向けた研究技術を公開

ホンダが自らの未来を見据えて策定した「2030年ビジョン」の実現に向け、現在取り組んでいる新しい技術を発表した。その中には、近年かなり力を入れている航空機を含む空の移動体のほか、ロボット技術、さらにはホンダとしては初めてのチャレンジとなる宇宙領域に関するものも含まれている。

既存の技術を活用

すべての人に「生活の可能性が拡がる喜び」の提供を目指して2030年ビジョンを作成したホンダは、既存事業による基盤強化に加え、環境負荷と交通事故の撲滅を掲げている。さらに燃焼、電動、制御、ロボティクスといったホンダが得意とする既存技術を総合活用することで、新領域への進出に向けて新たな研究を進めているという。その中から、今回は3つの研究テーマが発表された。



eVTOL(電動垂直離着陸機)


1つ目は、空の移動を身近にするeVTOL(電動垂直離着陸機)。航空機のホンダジェットだけでなく、F1に用いているジェネレーターやEVおよびハイブリッド・カーの電動化技術、自動運転車のセンサーなどを活用した電気とガスタービンのハイブリッドを動力として用いている。eVTOLと地上の移動手段を組み合わせることで、効率がよく環境負荷が少ない都市間移動網の形成が期待できる。



アバターロボット

2つ目は、バーチャルな移動手段となるアバターロボット。離れた場所から操作するいわば分身ロボットで、空間の隔たりを超えて自分の手で作業しているような作業や体感を可能にする。これにはアシモなどで培ったロボティクス技術はもちろん、人の手のような力加減を生む制御技術や、サポートするAIなどが活かされている。これは、2023年度に技術実証を開始し、2030年代の実用化を目指している。



宇宙領域への挑戦

最後は、宇宙領域への挑戦だ。燃料電池と高圧水電解といった技術を活用した月面での循環型再生エネルギー・システムの構築をJAXA(国立開発研究法人宇宙航空研究開発機構)と共同研究している。また、アバターロボットに用いる多指ハンドやAIサポート遠隔操縦を発展させた遠隔操作ロボットは、宇宙飛行士が宇宙空間で作業することに伴う危険を軽減したりする効果が見込めるほか、地球上からの操作も可能になる。さらに、燃焼技術や自動運転などの制御技術を応用し、低軌道向け小型人工衛星を打ち上げる再使用可能な小型ロケットを開発中だ。

いち早くプランを打ち出したホンダがどのような成果を上げるのか、多方面から注目を集めるのは間違いないだろう。自動車を取り巻く環境が厳しさを増すなか、こうした新分野へ目を向けるメーカーは今後増えていくかもしれない。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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