フェラーリのワンオフ・モデルを製作する「スペシャル・プロダクト」プロジェクトから新しい世界にたった1台のフェラーリ、「BR20」がお披露目された。通常ラインナップには存在しない2シーターのV型12気筒エンジンを搭載した4輪駆動クーペだ。
GTC4ルッソがベースのファストバック・クーペ
すでに生産が終了しているフェラーリV12モデルのGTC4ルッソをベースにオリジナルのボディが与えられている。GTC4ルッソは長いルーフを持つ4座のクーペだったが、RB20は後席を取り除き、なだらかに下がるルーフ・ラインを持つファストバック・スタイルに仕立てられた。リアのオーバーハングはベース車より3インチ(約7.5cm)ほど延長することで、シャープで伸びやかな意匠に仕立てている。
ルーフの後部には空気の通り道が設けられ、599GTBを想起させるフライング・バットレスを形成している。ルーフ・パネルは黒く塗装され、前後ウインドウとの一体感を演出。リア・ウインドウはテールへ向けて気流を誘導する形状となっている。

エレガントでラグジュアリーなデザイン
フロント・エンドはカーボンとクロームを組み合わせ、シャープでワイドなイメージを演出する。グリルは立体的な形状のスリットが現在ラインナップされるフェラーリのほかのモデルと異なる個性を主張。ヘッドライトはGTC4ルッソに似た形状ながら専用設計されたもので、より低くスリムにすることでボンネットの長さを強調し、前輪後部のエアベントからサイド・シルに配されたカーボン製の化粧パネルがダイナミックな印象を高めている。リア・エンドは、フェラーリの象徴と言える丸形4灯式テールライトと4本出しのエグゾースト・パイプを採用。空力デザインが施されたリア・バンパーには、可動フラップ付きディフューザーが組み込まれる。20インチのホイールは専用デザインが用意された。

ブラウンを巧みに活かしたオシャレな室内
室内は、濃淡のブラウン2色を使い分けた革とカーボン素材を多用。シートはダークブラウンのレザーには特別なパターンが描かれており、シート・サイドにはシルバーのクロスステッチが施される。キャビン後部にはオークとカーボンで仕立てた手荷物が置けるリア・ベンチとラゲッジデッキが広がり、折り畳むことで奥行きのある荷室として使うことも可能だという。
顧客の要望に応じ、平均して1年以上をかけて制作されるというスペシャル・プロダクトのワンオフ・モデル。その1台1台はオーナーの趣向に沿って製作されるが、ここで試したデザイン要素が市販車に反映されることはありうる話だ。今後のフロント・エンジン・フェラーリに、このBR20との類似性を見出すことになるかもしれない。
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文=関 耕一郎
(ENGINE WEBオリジナル)
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