2022.02.01

CARS

見た目はスーパーカーというよりレーシングカー!? ランボルギーニ・ウラカンSTO公道試乗!! まさかこんなに乗りやすいとは!?

前回は富士スピードウェイで試乗したウラカンSTO。その試乗車にナンバーがついたと連絡が入った。そこで公道での走りを試すべく、さっそく借り出した。エンジン編集部のムラカミがリポートする。

ど派手な姿に思わずのけ反りそうになる

試乗車のある東京・新木場のランボルギーニ・ディーラーに赴き、ウラカンSTOと対面した時、水色とオレンジに塗り分けられたあまりに派手な姿に思わずのけ反りそうになった。すでに富士スピードウェイで試乗して、巨大なウイングやルーフに突き出たシュノーケルを持ったレーシングカーと見紛うようなモデルであることは承知していたが、まさかその中でもひときわ目立つボディ・カラーの1台が公道用の試乗車に選ばれているとは。こんなので公道を走って大丈夫かと怖じ気付いていると、「この辺を走っただけですが、見かけよりずっと乗りやすかったですよ」と貸出し担当者氏が声をかけてきた。聞けば、段差が越えられるようにフロントを持ち上げるリフターも付いているという。ちょっと安心してアルカンターラで覆われたセミバケット・シートに乗り込んだ。



前後スライドこそ股の間のレバーを引いて行なうレーシングカーさながらのものになっているが、ちゃんとリクライニングも付いたゴージャスなシートであることは富士で確認済みだ。普通のクルマと同じ3点式のシートベルトを装着し、センターコンソールの赤いフタを開けてスタート・ボタンを押すと、周囲に雄叫びを響かせて背後に置かれたれた5.2リッター自然吸気V10ユニットに火が入る。駐車場から公道に出るのにもリフターでフロントを上げる必要があったこと以外には、なんら特別な操作は要らなかった。右のパドルを引いてギアを1速に入れ、あとはアクセレレーターを慎重に踏み込んでいけば、ひと昔前より格段に腕を上げた7段デュアルクラッチ式自動MTが、感心するほどスムーズにクルマを発進させてくれる。

運転が上手くなった気がする

走り始めて驚いたのは、乗り心地が望外にいいことだった。サーキットで素晴しい走りを見せてくれるマシンは、往々にして足が固められていて公道では乗り心地については我慢を強いられるものだ。しかし、ウラカンSTOは、その常識を完全に打ち破るくらいに快適な乗り心地を持っている。おそらく軽さが効いているのだろう。ボディ全体の75%以上をカーボン化したSTOは、V10エンジン搭載のモンスター・マシンでありながら車検証上でも重量が1510kgしかない。なんと私がいつも乗っている6気筒のポルシェ911カレラ4S(996型)より、僅かながら軽いのだ。軽ければスプリングをそんなに締め上げなくても、同じダイナミック性能を実現できる。しかも、エンジンと人という最大の重量物が前後車軸の間にあるのだから、重量バランスも悪いわけがない。



さらに驚かされたのは、ステアリング・ホイールやシートの座面を通じて手やお尻から伝わってくるドライビング・インフォメーションが、なんの曇りもないくらいにクリアで、刻々と変わるクルマの状態が手にとるようによくわかることだ。そしてすべての操作に対するクルマの動きが極めてリニアで、ピーキーではないけれどまったく無駄のない正確な反応をしてくれるおかげで、まるで突然自分の運転が上手くなったんじゃないかと思えるくらいに気持ちのいい走りを楽しむことができるのだ。

エンジンの爆音も含めて、音は決して静かだとは言えないが、遮音材もすべて剥ぎ取って軽量化したレーシング・マシンのような、そこら中から機械音とロード・ノイズが侵入してくるものとはまるで違う。箱根までの行き帰り、いつもなら楽しむクラシック音楽を聞かなかったのは、むしろ、回転数に応じて低音からクォーンという快音までをも響きわたらせるV10のサウンドを心ゆくまで堪能したいと思ったからだ。

箱根の山道での走りがこの上なく楽しかったのは言うまでもないが、このクルマで究極の走りを楽しみたかったら、やはりサーキットに行くべきだろう。しかも、富士や鈴鹿クラスの本格サーキットへ。かつて自ら運転してサーキットへ行き、走り、再び帰宅できるマシンの代表選手といえばポルシェ911だった。そこにウラカンSTOのようなスーパースポーツカーまで加わってきたのだから時代の進化は凄い。これだけの性能を持つマシンが、まさか公道でもこんなに乗りやすいとは。これは間違いなく最後の最高のウラカンだ。

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文=村上政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬



■ランボルギーニ・ウラカンSTO
駆動方式 エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4547×1945×1220mm
ホイールベース 2620mm
トレッド(前/後) 1688/1647mm
車両重量(車検証) 1510kg(前軸620kg、後軸890kg)
エンジン形式 90度V型10気筒直噴DOHC
排気量 5204cc
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
最高出力 640ps/8000rpm
最大トルク 565Nm/6500rpm
トランスミッション 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前)245/30R20、(後)305/30R20
車両本体価格(税込み) 4125万円

(ENGINE2022年2・3月号)

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