2022.04.23

CARS

MTを駆使して走るのが楽しい! アバルト595に5人のモータージャーナリストが乗った【2022年エンジン輸入車大試乗会】

アバルト595

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2022年上半期の注目モデル34台を大磯プリンスホテルの大駐車場に集め、38人のモータージャーナリストがイッキ乗りした恒例の大型企画、エンジン大試乗会。イタリアン・ホットハッチのアバルトのなかでもベーシック・モデルである595には、渡辺敏史、佐藤久実、森口将之、大谷達也、松田秀士の5人のジャーナリストが試乗した。

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145psでも十分楽しめる軽量ホットハッチ

アバルトのラインナップのなかで、最もベーシックなモデルが595だ。参考までに書くとアバルト595、595トゥリズモ、595Cトゥリズモ、595コンペティツィオーネの全4モデルとなる。595のトランスミッションは5段MTのみ。左右どちらのハンドル仕様も用意されている。1.4リッター直4ターボは最高出力145ps/5500rpm、最大トルク180Nm/2000rpmを発生、スポーツ・モードを選ぶと最大トルクが210Nm/3000rpmに引き上げられる。マニュアル・シフトでエンジンをキュンキュン回して走るのが楽しい。全長×全幅×全高=3660×1625×1505mm。ホイールベース=2300mm。車両重量=1110kg。車両本体価格=320万円。




ベーシックでも満足度は思いのほか大きい/渡辺敏史


愛らしい中にも主張がある輸入コンパクトとしてオジさんのセカンドカー的支持も大きいアバルト595シリーズ。多彩な限定車や180psのハイパワーを誇るグレード、コンペティツィオーネに目を奪われる中、今回乗ったのは5段MTの595だ。

デビュー時以降はなかなか触れる機会のなかった最もベーシックなグレードだが、これがえらく塩梅がよかった。トルクの山谷も穏やかだからズボラなシフトワークも受け付けてくれるし、交差点等の微低速での柔軟性も180psのチューニングより一枚上手。それでいて高回転域までスキッと軽快に吹け上がるなど回しての気持ちよさはほぼ遜色ない。もちろん145psは小柄な車体には充分以上だ。そのパワーに合わせて足回りのセットも少し柔らかめだから乗り心地もいい。

数字やコスメティックの誘惑に心惑わされない、そんな大人の余裕がもてる向きには敢えてイキってないベース・モデルをぜひお勧めしたい。もたらされる満足度は思いのほか大きいと思う。

  単眼式のメーター、ダッシュボードに取り付けられたブースト計はスポーツ・モードを選ぶと表示が赤く切り替わり、ドライバーをその気にさせる。エンジンのヘッドカバーも赤く、サソリの紋章はポテンシャルの象徴だ。


不満も不快もない、豊かな表情が魅力/佐藤久実

実は、昨年もこのクルマの執筆担当だった。ご縁があるようで。いや、こんなに元気で可愛いコとご一緒できるなら大歓迎だ。とはいえ、昨年の原稿をコピペするわけにもいかないし、同じ人間が乗るのだから、そうそうインプレも変わるわけがないし……と思っていた。「あざとかわいい」ルックス、そしてこのサソリは猛毒をもっているというのは昨年同様、乗ってすぐに感じたことで、このクルマの強烈な印象だ。ハンドルを握っているだけでドライバーを自然と笑顔にしてしまう、不思議なパワーがある。昨年は小気味良い走りにフォーカスしていたが、今年もっとも印象的だったのは、高速クルージングの気持ちよさ。コンパクトなボディでホイールベースも短いのにムダな動きもなく乗り心地も快適。もちろん、動力性能的にも不満はない。サルーンのような静粛性はないが、耳障りに感じるような不快なノイズもない。イタリアンなノリで、どんなシーンでもドライバーにストレスを感じさせず、楽しませてくれる。こんな表情の多さもガイシャの魅力のひとつではないでしょうか。


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