2022.04.23

CARS

MTを駆使して走るのが楽しい! アバルト595に5人のモータージャーナリストが乗った【2022年エンジン輸入車大試乗会】

アバルト595

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続いて、森口将之、大谷達也、松田秀士の3人のインプレッション。中でもレーシング・ドライバーの松田が、操作系のレイアウトに触れている点は見逃せない。

ターボの立ち上がりが明確だからMTが生きる!/森口将之

ひさしぶりに乗った素のアバルト595は、やんちゃなキャラクターはそのままに、意外にしっとりした一面も持っていた。とりわけ脚まわりは、一族の中ではタイヤのサイズがおとなしいこともあって、日常使いでも不安のないしなやかさ。シートもスポーティなハイバックではあるがバケットではないので乗り降りしやすい。

595は5段MTなので、エンジンのパフォーマンスがダイレクトに堪能できる。ここまでターボの立ち上がりが明確なクルマは最近珍しいし、ピークがはっきりしているからこそMTが生きる。まわりのターボがフラットトルク志向になったおかげで、アバルトらしさがより際立っている。ボタンにサソリが刻まれたスポーツ・モードが基本だと、誰もが思ってしまうチューニングも面白い。ノーマル・モードは他車のエコ・モードに近く、調律が取れているのは間違いなくスポーツ・モードだろう。それを含めて、日本車だったら重役会議で却下されそうなキャラクターを平然と送り出してしまう伝統は今も健在だ。



いま乗ってもハチャメチャに楽しい!/大谷達也

ベースとなったフィアット500のデビューから15年、そのアバルト版が誕生してからもすでに13年を数える。普通に考えれば賞味期限をとっくに迎えているはずだが、いまも乗るとハチャメチャに楽しい。

ホイールベースはたったの2300mm。ところが、ピッチングをうまく抑え込みながら、乗り心地も許容範囲内に収めている。ちなみに試乗車は595のベーシックグレード。ワインディング・ロードだけでなく普段の足としても使うなら、この“素の595”がお勧めだ。

1.4リッターエンジンの出力は145psと控えめだけれど、車重が1110kgしかないから走りは痛快そのもの。発進加速は文字どおり“弾ける”ような勢いで飛び出していく。

ロード・ホールディングだって悪くないし、コーナリング・フォームも意外なほど安定している。もちろん、すべてが100点満点とはいわないけれど、何かと気になる“あれこれ”も、この小さいボディが帳消しにし、すべて楽しさに昇華してくれる。ホットハッチは、やっぱり「小さいことはいいこと」なのだ!



自然に操作できるレイアウトが秀逸/松田秀士

見るからにやんちゃ! そして走ってもやっぱりやんちゃ! アバルト595に乗るたびに感じる印象だ。真正面から見たコイツの面構えは、よくぞこのコンパクトで可愛げなボディをここまで挑戦的なフェイスに仕上げたものだと感心する。早く乗れよ! と呼び込まれているかのようで、気が付くとコクピットに収まっていた、というのは嘘くさいけれども、本当に何のためらいもなく目の前のステアリング・ホイールを握っていたのだ。今回唯一のマニュアル・シフト。走り出してシフト・アップダウンを繰り返すたびに、とても自然に操作できるステアリングとシフト・ノブの距離感に感心。3つのペダル類もそうだが、操作系のレイアウトがとても上手だ。サスペンションは意外にもしなやかでソフト。しかしコーナーを攻め始めると、しっかりとした腰つき感が現れる。ロール抑制のためのバンプストッピング・ラバーの感触も、自然ではないが安心感があり、寸止めするようなジャスト感。だからロールがオーバーシュートしない。そしてコーナリング・スピードの速さに舌を巻いた。

  単眼式のメーター、ダッシュボードに取り付けられたブースト計はスポーツ・モードを選ぶと表示が赤く切り替わり、ドライバーをその気にさせる。エンジンのヘッドカバーも赤く、サソリの紋章はポテンシャルの象徴だ。

写真=柏田芳敬(メイン・サブともに)

(ENGINE2022年4月号)

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