2022.04.19

LIFESTYLE

歌舞伎役者・松本幸四郎が語る「僕がブルーマンにはまった理由」

歌舞伎役者・松本幸四郎が語る「ブルーマンの楽しみ方」

全ての画像を見る
音楽ライブとも演劇ともジャンル分けのできない、奇想天外なパフォーマンスで大人気のブルーマングループが日本公演を行っている。11年前から大ファンだという歌舞伎役者の松本幸四郎さんにその魅力を聞いた。

advertisement


歌舞伎に通じる精神

舞台に立つのは、顔を青く塗りたくった異様な風貌の男たち。頭はツルツルで終始無言、次に何をやらかすのかはまったく想像ができない。

「11年前に初めて彼らの舞台を観た時の衝撃が忘れられません。歌舞伎には”かぶく”という、一種のパンクのような、信念を持ったワルを指す言葉があります。ブルーマンにはそんな歌舞伎に通じる精神を感じるんです。まさに生きたパフォーマンスとして興奮しますし、同じ演劇人として刺激ももらえますね」

こう話すのは、松本幸四郎さん。歌舞伎界きってのブルーマン・ファンとして、その魅力を語ってくれた。

すでに舞台をご覧になった方も多いだろうが、ブルーマングループは1991年にニューヨークの路上から始まったパフォーマンス集団。廃材の管を組み合わせて作ったオリジナル楽器などによる音楽ライブや、口から吐き出したマシュマロでオブジェをつくるような奇想天外なパフォーマンスで、世界中で一大センセーションを巻き起こした。日本でも熱烈なファンを多く持ち、2007年から始まった専用劇場でのロングラン公演では4年間で延べ80万人を動員している。



「彼らの舞台には最新のテクノロジーがふんだんに使われていますが、その面白さの基本はやはりブルーマンのパフォーマンスにあります。歌舞伎と同じで、どんなに技術が発達しても、最終的に人の心を動かせるのは人しかいない。その点、ちょっとしたリズムや呼吸なども計算しながら、観客をたちまち虜にしてしまうブルーマンの人力は本当に凄いと思いますよ」

400年以上の歴史がある歌舞伎と、約30年前に路上で始まったブルーマングループ。両者ともに、人間の技と芸がつくりだす舞台ならではのライブ感こそが最大の武器だと幸四郎さんは話す。

ちなみに公演に先立って開かれた『ブルーマングループ ワールドツアー IN JAPAN』の製作発表記者会見では、髪を青く染めて会場に現れた幸四郎さん。アメリカから中継で参加した本物のブルーマンから、”歌舞伎界のブルーマン”に認定される一幕もあった。

「今回の来日公演でも、彼らからは絶対に驚かせてもらえるだろうと楽しみにしています。僕とブルーマンとの共演ですか? いつかぜひ実現させたいですね。その時はブルーマンでも歌舞伎でもない、まったく新しい演し物に挑戦したいです」



■『ブルーマングループ ワールドツアー IN JAPAN 2022』の公演は
5月8日まで東京・EXシアター六本木、5月11日~15日まで名古屋・愛知県芸術劇場、5月18日~22日まで大阪・オリックス劇場、5月27日~29日まで福岡サンパレスで行われる。

■松本幸四郎    2018年1月、歌舞伎座の高麗屋三代襲名披露公演『壽 初春大歌舞伎』で十代目松本幸四郎を襲名。二枚目から悪役、女方まで幅広い役を演じ分ける。2024年5月には五代目・長谷川平蔵役で出演する『鬼平犯科帳』の映画が公開。同作品の連続シリーズも同時配信される。

文=永野正雄(本誌) 写真=阿部昌也

(ENGINE2022年5月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement