2022.05.16

CARS

ルノー・カングーの牙城に挑むシトロエン・ベルランゴとプジョー・リフター! やっぱりフレンチ商用車は面白い!!【前篇】

フランスを代表する商用系乗用車、ルノー・カングー、シトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフター

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森口 シトロエンは2CV以降も、ディアーヌやヴィザの前半部分を使ったフルゴネットを作っていたけど、プジョーはベルランゴを共同開発するまでこの手のクルマはなかったよね。プジョー版は最初、パルトネールっていう名前だった。

藤原 2CVの時代から、先手はシトロエン。後からルノーが追いかけて、最終的に市場を席巻。その因縁を半世紀以上続け、今に至るという。

上田 確かに。ベルランゴ&パルトネールの登場はカングーより先でした。

藤原 それなのにシェアはずっとルノーの方が上。やっぱり郵便局のクルマとか警察車両とか、公のものを扱っているから強いんですかね。

森口 一応、ルノーは政府が大株主の会社だしね。でもカングーがいち早く日本に来たのはATがあったから。

上田 で、予想以上に売れた。輸入元の戦略も当たり、限定車を出し、オーナー・イベントをして……。

藤原 この国の輸入車の歴史の上で1つの奇跡だと思う。単独のモデルがここまで認知されるだなんて。

森口 最初、フランス側は日本人のカングーとの付き合い方に驚いたそうだけど、すぐ受け入れたんだ。

藤原 戸惑ったでしょうね。フランスでハイエースのミーティングが大盛況、みたいな話ですから。

森口 それにカングーの生まれる仏モブージュ工場はクルマのカスタマイズをするルノーテックっていう部署、いわゆる特装車セクションがあったから、そこで日本仕様や限定車を生産できた。デュアルクラッチが載ったのも日本市場のおかげ。

上田 その結果、この手のクルマがなくブルーオーシャンだった日本市場はカングーが席巻したと。初代に続いて2代目も売れて、都市部だけでなく全国各地まで広がりました。

藤原 それを横目で見ていたPSAがベルランゴやパルトネールを日本に入れられなかったのは、やっぱりATがなかったからですね。

GTは17インチのホイールが標準。アリュールの標準仕様は16インチ。


上田 でも今の世代で、いよいよ最新の8段ATや先進安全装備をひっさげて上陸しました。しかもカングーがガソリンのみだったのに対して、ディーゼルで勝負に出た。PSAの、シトロエンの逆襲です。

藤原 で、カングーも2代目の最後にディーゼルを導入したから、見事3台が揃い踏みしたと。ただ、価格はややPSAの2台が上ですね。

森口 内外装も装備もシンプルなカングーは比較的安価。でもPSAはそこまで安く値付けができない。そこであえて高めのディーゼルのみにする戦略を採ったのは上手かったね。見た目も豪華でお洒落だし。

藤原 カングーの内装、今見るとすごく地味ですよね。基本は2000年代前半登場のメガーヌIIと一緒。

上田 しかもディーゼルは鉄っちんホイールで黒バンパーと、ザ・フランスの実用車という感じです。

森口 カングーのユーザーは一定数この手が好きな人がいるよね。でもPSAの2台を欲しい人はちょっと違う嗜好かな。ベルランゴにもカングー的なグレードもあるけど、樹脂の使い方が上手いし差し色を入れたり、別の意味でフランス車っぽい。

ーー話はいよいよ、3台の違いと良いところと気になるところ、そして1台選ぶとしたらドレ? と佳境に突入! この続きは後篇で!!


話す人=森口将之+藤原よしお+上田純一郎(本誌、まとめも) 写真=山本佳吾

【後篇を読む】国産ミニバンに飽きたらこのクルマ! ルノー・カングー、シトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフター やっぱりフレンチ商用車は面白い!!

■シトロエン・ベルランゴ・シャインXTRパック
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4405×1850×1850mm
ホイールベース 2785mm
トレッド(前/後) 1550/1560mm
車両重量 1630kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
排気量 1498cc
最高出力 130ps/3750rpm
最大トルク 300Nm/1750rpm
変速機 8段AT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) トーションビーム/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 205/55R17
車両本体価格 374万9000円

■プジョー・リフターGT
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4405×1850×1880mm
ホイールベース 2785mm
トレッド(前/後) 1550/1560mm
車両重量 1650kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
排気量 1498cc
最高出力 130ps/3750rpm
最大トルク 300Nm/1750rpm
変速機 8段AT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) トーションビーム/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 215/60R17
車両本体価格 385万5000円

■ルノー・カングー・リミテッド・ディーゼルMT
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4280×1830×1810mm
ホイールベース 2700mm
トレッド(前/後) 1520/1535mm
車両重量 1520kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
排気量 1460cc
最高出力 116ps/3750rpm
最大トルク 260Nm/2000rpm
変速機 6段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) トレーリングアーム/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 195/65R15
車両本体価格 282万円

(ENGINE2022年6月号)

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