駆動方式は違うのに“アンダーステア嫌い”が共通点!?　アルピーヌとルノー・スポール、2人のオーナーが語るA110とメガーヌR.S.【前編】

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アルピーヌA110（左）とルノー・メガーヌR.S.

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佐野　全身専用設計のミドシップ・スポーツカーであるアルピーヌに対して、メガーヌ・ルノー・スポール（以下R.S.）は実用車をネジ上げたホットハッチ。対照的な存在ですが、ルノーがつくったマニアが一目置くスポーツ・モデルという点は同じ。心臓部となる1.8リッター・ターボも共通。

今回の試乗車はルノー・ジャポン所有の広報車ですが、私が10年以上乗り続けているルーテシアR.S.と乗り味はよく似ています。飛躍的に速くなっても目指すところは基本的に同じ。キングピン独立型ストラットによる強力なフロント・グリップと比較すると、量産車と同じトーションビームのリア・グリップは相対的に弱い。でも、それを良しとして「曲がるFF」にしている点は今も昔も変わりない。

出自は同じでもここまで違う

石井　乗ってもA110とメガーヌRSには共通点を感じる。それは「これをつくった人たちは本当にアンダーステアが嫌いなんだろうな」ということ（笑）。このA110に乗っていても、アルピーヌの原点は1950年代の創業以来のラリーだと思っちゃう。先が分からない公道を走るラリーでは、フロントが滑る＝アンダーステアがいちばん怖い。

佐野　アルピーヌは73年にルノーに吸収されて、その後のルノーのモータースポーツ活動＝R.S.の母体となっているわけで、アルピーヌとR.S.の歴史は一体です。

実際、新しいA110の開発を担当したのもR.S.ですし、R.S.名義だったF1も昨シーズンからアルピーヌとなり、ルノーの市販ホットハッチを手がけてきたR.S.カーズも、昨年5月に「アルピーヌ・カーズ」に改称しました。

日本だとニュルなどのサーキット・イメージが強いRSですが、昔からルーテシアやトゥインゴ、メガーヌをベースとしたカスタマー用のラリーカーをつくっていますしね。

石井　メガーヌR.S.に使われているダンパー・イン・ダンパー構造のHCC（ハイドロリック・コンプレッション・コントロール）も、もともとはラリー技術なわけだし。

佐野　最新のメガーヌR.S.で初めて使われた四輪操舵の4コントロールは、高速域で同位相に操舵してリア・グリップを上げるのが第一義なのに、最もスポーティなレース・モードでは、100km／hまで逆位相に切って回頭性を上げている。とにかくアンダーステアが嫌い（笑）。

ーーこの後、2人の話は他社のスポーツカーとの比較に発展。そこから見えてきた意外な結論とは？　続きは後編へ！

話す人＝石井昌道＋佐野弘宗（まとめも）　写真＝山本佳吾

【後編を読む】ゆっくり走っても楽しめるのはどっち？　アルピーヌ・オーナーとルノー・スポール・オーナーが語るA110とメガーヌR.S.

■アルピーヌA110プルミエール・エディション
駆動方式　ミドシップ横置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高　4205×1800×1250mm
ホイールベース　2420mm
トレッド（前／後）　1555／1550mm
車両重量　1110kg
エンジン形式　水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量　1798cc
最高出力　252ps/6000rpm
最大トルク　320Nm/2000rpm
変速機　7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション（前後）　ダブルウィッシュボーン／コイル
ブレーキ（前後）　通気冷却式ディスク
タイヤ（前／後）　205/40R18／235/40R18
車両本体価格　790万円（販売終了済）

■ルノー・メガーヌR.S.トロフィーMT
駆動方式　フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高　4410×1875×1465mm
ホイールベース　2670mm
トレッド（前／後）　1620／1600mm
車両重量　1460kg
エンジン形式　水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量　1798cc
最高出力　300ps/6000rpm
最大トルク　400Nm/3200rpm
変速機　6段MT
サスペンション（前）　マクファーソンストラット／コイル
サスペンション（後）　トーションビーム／コイル
ブレーキ（前／後）　通気冷却式ディスク／ディスク
タイヤ（前後）　245/45R19
車両本体価格　524万円

（ENGINE2022年6月号）

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