2022.05.21

LIFESTYLE

コンクリートの建物の中に木造3階建ての家が入ってる!!!! 外観からは想像できないユニークな構造の家が誕生した理由が面白い!

神田篤宏さん、佐野ももさん設計による桜の大木がある家

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入口は2階で、桜の根を避けるため、カーブした外階段で登っていく。途中にある踊り場の下は、半地下の部屋。家族が楽器を楽しんだりするスペースだ。

コンクリート造りの建物の外枠は、一つの階の高さが普通の家の1・5階分。山田邸の玄関脇のバルコニーは、一般的な家の2階よりも少し高く、目の高さで広がる桜を眺めることができる特等席だ。

玄関扉を開けると、大きなリビング・ダイニング・キッチンがあり、一部が吹き抜けになっている。2階分の高さがある窓からの桜の眺めは圧巻だ。驚いたのは、レンジやシンクを備えたテーブルの幅が3mと巨大なこと。キッチン・テーブル周りはシンプルに見えるが、随所に工夫が凝らされた重要な場所。部屋の中の高低差が上手く利用されている。なかでも、テーブルを挟んで料理をしながら、椅子に掛けた人と同じ目線でお喋りができるのは大きい。実は山田さん、料理で人を持てなすのが趣味。建築家の神田さん夫妻も、「設計の打ち合わせと称して、何度も山田さんの料理をご馳走になった」。



3階は水回りと主寝室、子供部屋、そして山田さんのホームオフィスが。会社員だが在宅勤務が多かった山田さんは、現在ほぼ自宅で働いている。ZOOM会議の際、子供たちは離れた半地下の部屋で遊んでいるそうだ。「この家ができて、朝早くから働くようになりました。仕事は早く切り上げ、19時ごろからお酒片手に夕食を作り始め、そうこうしているうちに妻が仕事から帰ってきて、一緒に飲み始めます。9割は僕が食事を作っているかもしれません。週末も、友人を招くことが多いですね。キャンプが好きだったのは、料理で誰かを持てなせるから。それがこの家で暮らし始め、キャンプに行きたい気持ちが随分と薄れたものです」

仲のいい建築家が長年考え抜いた山田邸。本当に居心地がよい家になったのは、間違いないようだ。

文=ジョー スズキ 写真=田村浩章

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■建築家:神田篤宏 1972年生まれ。早稲田大学大学院修了。佐野もも 1976年生まれ。東京芸術大学大学院修了。共に北川原温の事務所に勤務した後に独立し、コンマを共同設立。写真は虎ノ門ヒルズ近くの店舗兼住宅。今回紹介した山田邸で、建築家の登竜門と呼ばれるJIA新人賞を受賞。注目の存在に。

■お知らせ:雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」がスタート。第1回配信は、エンジンでも紹介したことのある国際的建築家、窪田勝文さん設計の山口県のミニマリスティックな住宅。最新のルームツアー、小山光さん設計の「プールのある葉山の別荘」も配信中。必見です!


(ENGINE2022年6月号)

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