2022.05.20

CARS

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優雅さこそ最高の性能 ドイツ車とは一線を画すDS9の魅力とは?

フランスのプレミアムカー・ブランド、DSの新しいフラッグシップ・モデル、DS9が日本に上陸した。ドイツ車中心の高級セダン・マーケットに新しい風を吹き込むエレガントなDS9に、モータージャーナリストの森口将之が試乗した。

美しく優美なセダン

どんなにSUVがメジャーになろうとも、ヨーロッパにおけるフォーマルな移動手段はセダンであり続けていることは、テレビやインターネット越しに見る現地の政府要人などの集まりなどでもわかる。



ドラージュやドライエ、ファセル・ヴェガなど、第二次世界大戦前から戦後にかけてヨーロッパの上流階級を彩ったフレンチラグジュアリーの復権を目指すべく創設されたDSオートモビルのフラッグシップ、DS9が3ボックスセダンとして送り出されたのは、だから当然の流れであろう。

しかしながら全長4940mm、全幅1855mm、全高1460mmというサイズを持つボディは、他のEセグメントセダンとは一線を画している。
プロポーションは伸びやかで、ウエッジシェイプにしたり、フェンダーを張り出したりという攻めのフォルムではない。リトラクタブルドアハンドルを備えたサイドビューは優美という言葉がふさわしい。フォーマルユースも想定したことが伺える。



一方でDSアクティブLEDビジョンと名付けられたヘッドランプは、キーで解錠するたびにパープルの光を放ちながら180度回転し、そこから下に伸びるデイタイムランニングランプはパールを埋め込んだネックレスのような光を放つ。

ルーヴル美術館中庭のピラミッドを赤く染めたようなリアコンビランプもそうだが、シックな服に華やかなアクセサリーを組み合わせるというフランスらしいセンスが、並み居るプレミアムEセグメントの中でも突出した存在に感じさせる。

■DS9の詳しい情報はコチラ■



フレンチ・ラグジュアリーを愉しむ

インテリアはそれ以上かもしれない。日本仕様のDS9はリヴォリとオペラの2グレードが用意される。今回紹介するのは上級グレードのオペラだが、アールルビィのレザーで覆われた空間には正直言って圧倒された。



インパネやドアトリムの一部にはパティーヌ(錆染)仕上げのアートフィニッシュレザーを貼り込み、宝飾品を思わせるパールトップステッチが脇を走る。センターコンソールには伝説の時計職人アブラアン=ルイ・ブレゲが考案したギヨシェ模様、クル・ド・パリが刻まれる。 

ピラーが樹脂ではなくアルカンターラ張りになっていることにも気づく。細部まで手を抜かない仕立てが、特別なクルマであるという印象を盛り上げてくれる。



DSブランドを特徴づけるウォッチストラップデザインのシートは、座面と背もたれそれぞれが、一枚のナッパレザーで作られる。革職人の技術を応用した。接着により革が重なると座り心地が悪くなるからだという。

同じフランスのファッションブランドが好んで使うサヴォア・フェール、感性あふれる匠の技が、各所に展開されているのである。

DS9がフォーマルユースを考えていることは、リアシートに身を置くとわかる。レッグスペースは約277mmにも達するそうで、身長170cmの自分なら楽に足が組める。なのに後輪はさらに後ろにある。2895mmというロングホイールベースを持つ前輪駆動のメリットを教えられる。



しかも試乗したオペラではここをDSラウンジと称しており、頭部を包み込むような感触のラウンジヘッドレストを装備し、左右席にはシートヒーター、ベンチレーション機能、マルチポイントランバーサポートも採用する。ラグジュアリーセダンの魅力を再認識させてくれる空間でもある。

運転席に戻ってインパネ中央のスタートスイッチを押す。エンジン始動とともにスイッチの上のパネルが回転し、アナログ時計が現れる。驚きを楽しさに変えていく、同じフランスの服飾や料理にも通じる技に魅せられる。



パワーユニットは1.6リッター直列4気筒ガソリン・ターボと、これにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドのE-TENSEが選べる。トランスミッションはどちらも8段ATだ。

前輪駆動のメリットで、ゆとりあるボディサイズでありながら車両重量は1640kgに収まっている。よって225ps/30.6kgmをもたらす1.6リッター・ターボでも加速に不満はない。8段ATが臨機応変な仕事をしてくれるおかげもある。



それとともに感じたのは静粛性。耳に届くのは加速時のエンジン音ぐらいで、ロードノイズはみごとに抑え込まれている。同じフランスのハイエンドオーディオブランド、フォーカルの14個のスピーカーから流れてくる良質なサウンドが生きる。

フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクの足回りには、DSアクティブスキャンサスペンションを装備する。フロントガラスに装着したカメラで前方路面をチェックし、4輪のショックアブソーバーの減衰力をリアルタイムで電子制御するもので、コンフォートモードを選んだときに作動する。



同じシステムは他のDSも搭載していて、別の機会に試したことがあるが、DS9はやはり別格だ。ゆったりした周期の揺れは快感と呼べるほど。背が低く剛性面で有利なセダンボディのメリットとともに、ハイドロニューマチックを搭載したクラシックDSでの経験が伝わってくる。

インテリアを華やかに彩るクル・ド・パリ文様は、目の前に広がるエンジンフード中央を貫くサーベルにも刻まれる。その情景もまた特別な時間だ。デザインから走りまで、優雅こそ最高の性能という主張が貫かれている。パワー・オブ・エレガンスというメッセージが腑に落ちた。

文=森口将之 写真=郡大二郎

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(ENGINEWEBオリジナル)

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