2022.10.29

CARS

後輪駆動マニュアルのS2000に新車から乗り続ける大学准教授の女性オーナーの熱意に拍手! ホンダS2000を愛するふたりの女性ドライバー【前篇】

自然吸気2リッター・エンジンで250psを発生するこの2座オープンのホンダS2000を愛するふたりの女性は、助手席よりも運転席が大好き。

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1999年、ホンダが29年ぶりに発売したFRのスポーツカー、S2000。自然吸気2リッター・エンジンで250psを発生するこの2座オープンを愛するふたりの女性は、助手席よりも運転席が大好き。今回は前篇として、ホンダ愛が止まらない簗瀬澄乃さんのS2000ライフを紹介する。

新車で買って22年

ゴールデン・ウィーク後半の初日、5月3日の関東地方は高気圧に覆われ、穏やかな日となった。北風が少しひんやりするけれど、その分湿度が低く気持ちいい。まさにオープンカー日和である。桜の葉が緑を濃くした千葉県木更津市の公園に2台のホンダS2000が停まっていた。



シックなブラック・ボディのオーナーは簗瀬澄乃さん、木々の緑にシンクロするような鮮やかなグリーンのS2000を愛するのは池田利香さんである。

簗瀬さんは神奈川県大和市から、池田さんは栃木県宇都宮市からわざわざやってきてくれた。遠いところが集合場所であるにもかかわらず、ふたりとも快諾してくれた。それだけで、運転が大好きだと窺い知れた。

では、おふたりのプロフィールを紹介しよう。

走り込んだ雰囲気のある黒いS2000に乗る簗瀬澄乃さんは某大学の准教授で医学博士でもある。2000年7月に新車で購入した。以来、ずっと乗り続けている。

簗瀬さんの黒いS2000には無限のマフラーとモデューロのサスペンションが装着されていた。簗瀬さんも池田さんもディーラーで装着が出来る純正商品でS2000をチューンナップしている。簗瀬さんはS2000を普段使いしており、長距離もあまり苦にしない。北海道を1周したこともある。

「2000年のはじめから半年間、研究のためにアメリカへ留学していたんです。インターネットでS2000を見て衝撃を受けました。なんてカッコイイんだろう! 日本に帰ったら、これを買おうと」

日本ではホンダが北米向けに開発した2代目のシビック・クーペに乗っていた。最初に買ったクルマもスポーツ・シビックと呼ばれたEG型のホンダ・シビックだった。

「20代の頃からオートバイのレースやF1を観るのが好きだったんです。日本から参戦して頑張っているホンダを応援していました。クルマを買うのが一番の応援になるだろうと思ったんです」

それまで乗っていたシビック・クーペは4ATだったので、スリー・ペダルのS2000に最初は戸惑ったという。

「S2000はマニュアルしかなかったから仕方ないですよね(笑)。久しぶりだったので、慣れるまで少し時間がかかりました。でも、S2000の魅力ってドライバーにある程度のスキルを要求するところだと思うんです。ドライバーがS2000を上手に動かすためには、その技術を獲得するために努力をしなくちゃならない。そう思わせるところが好きですね。S2000に乗って運転が好きになった。それまでは買い物などで街中をチョロチョロ走るだけで、運転が面白いとは思わなかった」

街中をATでチョロチョロ走っていた女性が、マニュアルだからという理由で購入を諦めず、むしろそれを喜びに変えたというのだから、拍手喝采である。

簗瀬さんが22年間乗っているS2000のインテリア。シフトノブをチタン製のものに交換した以外はノーマルだ。

「S2000オーナーを対象としたドライビング・フォーラムというドライビング・レッスンが、ツインリンクもてぎでありまして、2回参加しました。2日間のレッスンでブレーキ練習からヒール・アンド・トゥまでやりました」

本人は「最初の頃よりは少し」と謙遜するけれど、S2000と過ごす時間に比例して簗瀬さんの運転スキルも上達していった。オドメーターは18万kmを超えている。

S2000に乗ってから、簗瀬さんにはもうひとつ趣味が増えた。オートバイである。

「S2000乗りの人たちが、乗り味がバイクに似ているっていうんです。そうなんだ、じゃあバイクに乗ってみようと思って」

教習所で大型自動二輪免許を取り、購入したのはもちろんホンダ。CBR600FSは、ホンダ・ワークスのレジェンド・ライダー、バレンティーノ・ロッシ選手のレーシング・カラーを持つ。

一方、オートバイからS2000に移ったというのが、グリーンのS2000に乗る池田利香さんだった。

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◆【後篇はこちら】もうひとりのS2000を愛する女性ドライバー、池田利香さん

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(ENGINE2022年7月号)

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