2022.07.23

LIFESTYLE

外観からは想像がつかない大きな庭がこの裏に! 新宿区に建つとは思えないリゾートのような家がすごい!!

アトリエ棟(右手)と住居棟の二つの建物からなる加藤邸。アトリエ棟は建物右手から入った奥が入り口で、住居棟の入り口はアトリエ棟との間。家を囲む植物は、加藤さん自らが植えたもの。

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収納ができる窓

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なんといっても加藤邸のポイントは、南側の庭をできるだけ広くとり、リビング・ダイニングから存分に眺められるようにしたこと。庭に面した柱のない開口部は7mを超え、特注した幅180cmの木枠の窓が4枚、それも全て収納できるようになっている。すべての窓を収納した時の解放感は格別で、本当に気持ちが良い。そのうえ窓の高さも工夫されており、室内から隣家は見えない仕組みだ。キッチン上にある北側の窓の位置も絶妙で、隣家の樹木を上手く借景に取り入れている。加藤さん自身が作庭中の庭の木々が、年月を経てさらに成長すれば、窓からの景色はよりリゾート感を増すことだろう。

このように広い庭を確保するため、随所に建築上の工夫が凝らされている。玄関は半畳もないほどの極小スペース。視線が抜けるので気づかないが、吹き抜けとなったリビングに応接セットを置ける広さはない。寝室も天井が高いうえ窓から外が見え、床面積以上の広さを感じさせる。



驚いたのは、奥様の要求を形に落とし込んだキッチン周り。ミニマルなデザインで、生活感を感じさせない。そのうえ電源のコンセントやインターフォンのモニターなども、全て隠れるように設計されており、一般的な住宅と雰囲気は大きく異なる。さらにリゾート感を増してくれるのが、庭がついたバスルームだ。石を使った豪華な空間であるが、シャワーエリアを含めてもユニットバスのサイズ。設計の妙で広く豊かに感じられる。このお風呂にゆっくり浸かり、その後、庭に出てビールを飲むのが加藤さんにとって至福の時間だとか。う~ん、極楽、極楽。



エイジングを意識して

この家が完成したのは去年の5月。まだ1年しか経っていないのに、隣家との境の木製の壁が随分と日焼けしているのに気がついた。あえてそのように加工したもので、それ以上は急激に劣化することはないという。この美意識は、加藤さんがジュリエッタの前に、形が気に入って新車から20年乗った、日産ラシーンに通ずるところがある。流行から距離を置いたデザインのラシーンは、時間の経過とともにそれが味になり、今でも根強い人気のクルマだ。この家も同じように、最初からある古びた雰囲気が、歳月を重ねることでより魅力を増すことだろう。



ちなみに加藤さんのラシーンは、ナンバープレートの分類番号が2桁。意識したことはなかったが、「随分古いクルマに乗っているんですね」と指摘され、買い替えることにした。思えば古いラシーンでの長距離運転は、少々負担でもあった。そこで自分の雰囲気やスタイルに合ったクルマを検討し、候補になったのがアルファロメオ147である。加藤建築の特徴を一言で表わすと、暮らす楽しさのあるベーシックな家だろう。たしかに147に通ずる点が多いように思う。もっともその時点で生産中止になっていたため、新車派の加藤さんは147の購入を諦め、代わりに後継モデルであるジュリエッタに乗ることにした。結果、長距離の運転が楽になっただけでなく、仕事の関係者との雑談でクルマが話題になることもある。ラシーンの時代にはなかった話だ。

9年乗ったジュリエッタは、ラシーンと同じ7万キロを距離計に刻んでいる。購入時、未来の自邸に置いても映えるよう、赤を選んだジュリエッタ。よく心配されるが、今のところ大きな故障もない。加藤邸と赤いジュリエッタは、これからゆっくりと歳月を重ねていくことだろう。

文=ジョー スズキ 写真=田村浩章

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■加藤雅康:1962年東京生まれ。関東学院大学卒業後、ケン設計工房を経て独立。これまで60を超える住宅を設計。実用的で居心地の良いスタンダードな住宅が得意。和モダンなスタイルには定評がある。住宅の他に集合住宅、事務所、医療施設、商業施設なども多数手掛ける。

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(ENGINE2022年7月号)

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