2022.09.02

WATCHES

ユリス・ナルダンの新作は奇想天外な「宇宙船」

かつての「ジュネーブSIHH」と「バーゼルワールド」の主役級ブランドが一堂に会し、今年はリアルで開催された世界最大の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2022」。「ワンダーズ」という言葉に象徴されるように、数々の時計には新たな発見と驚きがいっぱいだ。

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シリーズ第19弾は、「ユリス・ナルダン」。時計ジャーナリストの菅原 茂氏とENGINE編集部時計担当の前田清輝がその魅力を解説する。

「フリーク」最新モデルは手に着ける宇宙船?

2001年の誕生から20年あまり、最先端のハイテクとアバンギャルドなデザインが絶えず人を驚かせてきた「フリーク」。そして新しい「フリークS」がまたもや革新的な機構によって時計を異次元の世界へと導いた。回転するムーブメント自体が時と分を表示するカルーセルに初めて2つのテンプを組み込み、ディファレンシャルの仕組みで安定した高精度を得るという設計なのだ。おもしろいのは、その姿がロケットや宇宙船を思わせること。真似のできない奇想天外な時計によってラグジュアリーの新世界を開拓するユリス・ナルダンの面目躍如といったところだ。



フリークS
ムーブメントには2層のブリッジがあり、センターの軸で回転。20度傾斜した2個のテンプを装備したムーブメントは上部ブリッジは60分で1回転して分針を演じ、12時間で1周する下部ブリッジが時針の役を担う。時刻合わせはベゼルで、ムーブメントの巻き上げは裏面のリングで簡単にできる。自動巻き。パワーリザーブ約72時間。セラミックス×チタン×ローズゴールド、ケース直径45mm。50m防水。世界限定75本。1650万円。


フリークX アベンチュリン
1時間で1回転するユニークなカルーセル式ムーブメントのバックグラウンドを成す装飾プレートに、星が輝く美しい夜空を思わせるブルーアベンチュリンをセットして宇宙的なイメージを演出。自動巻き。パワーリザーブ約72時間。チタン×ローズゴールド、ケース直径43mm。50m防水。世界限定99本。456万5000円。

菅原 「フリークS」の要点は前田氏のおっしゃる通り。さて、ユリス・ナルダンは今や広く使われるようになったシリコン素材を時計に導入した先駆者という点が非常に重要だ。新作は初代「フリーク」から想を得たセラミック、チタン、ゴールドなど異素材を組み合わせた新しいケースを採用。外装の素材革命の点でも先駆者なのだね。

前田
 針を持たず、カルーセルムーブメントが時刻を表示する、画期的な機構を持つ「フリーク」。今回発表された「フリークS」はさらに進化しており、2つのテンプを持つことで振幅を調整する効果があるのだという。そして、複雑な機構でありながら、まるで宇宙船のようなカッコ良さ。他にはない独創性の高い時計作りに唸らされる。

文=菅原 茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE2022年7月号)
※価格は雑誌掲載時のものです。

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