2022.08.22

CARS

ヤフオクで買った25年オチの過走行車に隠された驚きの歴史とは?【連載 シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#6】

エンジン編集部員ウエダの長期リポート車両、シトロエン・エグザンティアV-SX(1996年型)。

全ての画像を見る
エンジン編集部員のウエダが2021年6月、シトロエン・エグザンティアをヤフー・オークションで購入。走行距離が約16万km、価格は7万円で、しかも見た目は傷だらけのクルマながら、板金塗装代50万円、部品代70万円、工賃80万円、計200万円を投じて仕上げることに……。6回目のリポートは、本格的な修復作業をご紹介する前に、少しだけ過去を振り返ってみた。

このシトロエンは“マツダもの”

今回はエグザンティアとともに手元にやって来た書類などから、判明したことをご報告する。

ビニール製の車検証入れの中には、自賠責保険やETC車載器の書類などと一緒に、新車当時のエグザンティアのオーナーズハンドブックと、ぶ厚いメンテナンスノートが収まっていた。どちらも破損などはなく、ごくごく普通の状態だったが、なにせもう四半世紀前のものだ。きちんと残っているのはラッキー以外の何物でもないし、こういうものが一通りちゃんと揃っていると、がんばってクルマを仕上げようという気もしてくる。



かつてシトロエンは西武自動車販売系と、マツダ(ユーノス)系の2つの販路で扱いがあった。オーナーズハンドブックの最後のページには発行元としてマツダ株式会社サービス部と書いてあったし、メンテナンスノートの表紙には、懐かしい株式会社ユーノスの文字もあるから、すぐにこのエグザンティアは“マツダもの”のシトロエンと分かった。

気になるのはこれまでの整備の履歴である。メンテナンスノートは新車保証書も兼ねており、一番古い日付は1996年3月28日の初年度登録年月日で、ファースト・オーナーは約2カ月後の5月27日、走行872kmの時にオイル交換など初回点検を受けている。場所は三重マツダ(現・東海マツダ販売)の津営業所で、以来、定期点検と車検はずっとこのディーラーで行われてきたようだ。

しかし6年後の2002年、走行2万kmほどの時点で売却され、セカンド・オーナーが関東の中古車販売店を経由して購入。以降はマツダだけでなくシトロエン・ジャポンの正規ディーラーや専門店を転々とし、さらにはオーナー自らが整備をしている。

メンテナンスノートに書かれた積算計の数字を辿っていくと、直近の2年を除いて定期的に消耗品は交換がされている上に、事故や故障などで長く間を空けることなく、20年間で14万km、年間7000kmをコンスタントに走っていることが分かった。新米のサード・オーナーとしては、まずは一安心である。

荷室に収められた車載の工具について欠品はないようだし、床下に収納されているスペア・タイヤを含めて、ほぼ使った形跡もなかったのも朗報だ。

残念なのは、ステアリング・ホイールのスイッチから操作できる新車時装着の純正カセット・デッキ一体型AM FM電子チューナー(CDオート・チェンジャー・コントロール付き)が失われていたこと。オリジナルの配線も切断され、代わりにケンウッド製のU585BTというMP3などの音楽ファイルに対応する、少し前のCDレシーバーが付いていた。

U585BTはiPhoneと接続して音楽は聴けるし、ハンズフリー通話も可能だが、ステアリング・ホイールのスイッチは一切使えなくなっていた。このスイッチはラジオの周波数の調整がしやすく、かつて別のエグザンティアに乗っていた時は、ロング・ドライブでとても重宝していた。

それに正直、U585BTはだいぶマシな方ではあるけれど、今どきのデザインの派手なオーディオ・ユニットは、シンプルなエグザンティアのインテリアにはまったく似合わないと思っている。だから新車時のカセット・デッキとほぼ同等品をすでに入手済みだ。ステアリング・ホイールのスイッチを復活させ、ふたたびオーディオ・ユニットを操作できるよう準備中である。


さて、次回は前オーナーから聞いていた不調部分以外に、点検で次々に発覚していく数々の不具合カ所と、いよいよ外装のオールペイントの下準備のため、どんどんバラバラにされていくエグザンティアの様子をお届けする。

■シトロエン・エグザンティアV-SX
CITROEN XANTIA V-SX

購入価格 7万円(板金整備を含む納車時までの支払い額は213万9326円)
導入時期 2021年6月
走行距離 15万9247km(購入時15万8970km)

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明/上田純一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

◆前の記事
連載 ヤフオク7万円で落札したシトロエン! 1254枚の写真が語るエグザンティアのレストア・リポートがスタート!!

◆過去の連載一覧
エンジン編集部員がヤフオクで買ったシトロエン・エグザンティアの長期リポート!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement