2022.12.12

CARS

まるで汚部屋の大掃除? ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエンはどこまで綺麗になる?【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#12】

エンジン編集部員が隔週連載でお届けするシトロエン・エグザンティアの修理奮闘記!

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エンジン編集部のウエダが2021年6月、シトロエン・エグザンティアをヤフー・オークションで購入。価格は7万円、走行距離が約16万kmで、内外装は傷だらけのクルマながら、板金塗装代50万円、部品代70万円、工賃80万円の、計200万円を投じて仕上げることに……。12回目のリポートは、インテリアの分解と大掃除である。

2度とやりたくない!

アンサーバック機構付きのリモコン・ロックを取り付けるための、センター・コンソールの脱着にはじまったインテリアの分解作業。まずはグローブ・ボックス、続いてステアリング・ホイール、さらにオーディオ、各種スイッチ類……といった具合に、1つ1つエグザンティア室内前側のパーツを取り外していく。

ステアリング・ホイールを脱着するため、まずはエアバッグから取り外す。

ついにはダッシュボード、エアコン・ユニット、ヒーター・ユニットも外され、最終的にはエンジン・ルームと室内を区切るバルクヘッドと、その上を縦横無尽に走る配線の束が見えるだけの状態となった。

「正直、2度とやりたくない」と主治医のカークラフトの篠原さんがいうくらい手間と時間がかかる作業だが、ここまでしないとヒーター・コアからのクーラント漏れや、ダッシュボード上面の変形は直せないし、長年の汚れを掃除することもできないのだから、仕方がない。

この時代の欧州車の多くはヒーター・コアのサイド部分が樹脂でできており、時間が経つとコア本体の金属部とのカシメが劣化してクーラントがしみ出す。クーラントの甘いにおいはクルマ酔いにも繋がるし、直接身体に取り入れないとはいえ、健康被害を引き起こしかねない。



カークラフトではエグザンティア同様に、数多くのクルマのヒーター・コア交換などのため、ダッシュボードの分解を行っている。往々にして欧州車の右ハンドル仕様は非常に作業がやりづらく、部品交換にいちいち手間がかかるそうだ。右ハンドルのエグザンティアの場合は空調関係のユニットとLHMタンクが近くに配置されているため、手が入らないところが多い。基本設計が左ハンドル前提だから仕方がないとはいえ、分解整備や部品交換のことなどまったく考えられていない、さらにひどいクルマも多いという。

そうしたリペアビリティの低下は、部品が小型化し、複雑化した現代のクルマでは、さらに加速している。だからこのようにものすごく手間暇をかけていちいち細かな部品を交換することは、現実的ではなくなっている。2010年代以降のクルマの多くは大きなユニットごとの交換が前提になっているから、部品の入手が難しくなれば、メカニックもさじを投げるしかない。そうなればユーザーは長くクルマを愛することができず、手放してしまうだろう。1990〜2000年代ぐらいのエグザンティアのようなクルマは、細々と人の手で部品の交換ができる、最後の世代になるのかもしれない。

取り外したダッシュボード。下に見えるデフロスターの周囲が膨らんでいるのが分かるだろうか。

ちなみにたいていのクルマのダッシュボードはボルトやねじで取り付けられているが、基本的にその数や位置は大きな差はない。ただし初代フィアット・パンダのように、ハンモック状の布のダッシュボードで覆われているだけで、すぐその奥にバルクヘッドがあるようなクルマもあるし、初代のランチア・イプシロンのように、非常に凝った造りで、なんと100カ所近くのボルトやナットで固定されているクルマもある。

こうした手間暇掛けて造られている旧いクルマのパーツの脱着は面倒だ。でも、今どきのクルマのように樹脂の爪などではめ込まれているだけではなく、細々した部品の1つ1つがきちんと固定されているおかげで、位置もずれず、きしみ音なども出ず、剛性感も高いという。

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