2022.08.21

CARS

自然吸気ポルシェ911の最高峰、新型GT3RSデビュー 4リッターは遂に525psへ

ポルシェは自然吸気のフラット6を積む911GT3の最高峰となる「911GT3RS」の新型を発表。日本国内での予約受注を開始した。

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レーシング・カーの911GT3Rの要素を盛り込む

992型の911GT3初の「RS」モデル。911GT3をベースにエンジンの出力アップをはじめ、走行性能の向上や軽量化が図られている。空力パーツやエンジンの冷却に関しては、先日発表されたGT3規格のレーシング・カーである「911GT3R」と密接な関係を持つ。



センター・ラジエターを採用

従来モデル同様、「911ターボ」用のワイド・ボディを用いたエクステリアは空力性能向上のため大幅に改修されている。ラジエターを通常の911が採用する3分割タイプから9111GT3Rと同じような大型のものを中央にひとつだけ配置する方式に変更。ボンネットにはラジエター用の大きなエア・アウトレットが備わりる。そこから排出された空気はリアに配されたエンジンの吸気温度が高まらないようにルーフ上のフィンでボディの外向きに流される。なお、「911ターボ」のようにリア・フェンダーに開けられたエア・インテークはエンジンの吸気用ではなく、空力性能の向上のためだけに用いられている。

センター・ラジエター化により空いたバンパー・グリルの両サイドにアクティブ・エアロを搭載。フロントの無段階調節ウイングや、ポルシェの市販車ではじめてルーフより高く設置されたリアの大型2分割式スワンネック・ウイングなどと合わせ、200km/h時に409kgのダウンフォースを発生させる。ボディを下向きに抑える力は285km/h時ではなんと、先代991型RSの2倍、現行911GT3の約3倍にあたる860kgに及ぶ。また、これも市販ポルシェ初となるスイッチひとつでリア・ウイングをフラットに空気抵抗を抑制する「DRS」や、前後ウイングで減速効果を生むエア・ブレーキ機能も装備する。

歴代のRS同様、軽量化にも積極的で、フロント・フェンダーやボンネット、ドアやルーフ、フルバケット・シートなど、広範囲にわたってカーボンFRP素材を使用。車両重量は日本仕様のGT3よりも軽い1450kgに抑えられている。



GT3に対して15psアップ

エンジンはGT3と同じ4.0リッター水平対向6気筒だが、新しいカムシャフトのほか、シングル・スロットル・インテークやリジッド・バルブ・ドライブといったモータースポーツ由来のメカニズムを採用。出力はGT3の510ps/470Nmから525ps/465Nmへと最大トルクは若干下がったものの、最高出力は15psのアップが図られた。デュアルクラッチ式7段自動MT(PDK)は、911GT3よりギア比を全体的に落としている。そのため、3.2秒という0-100km/h加速はGT3よりも0.2秒短縮しているが、最高速度は296km/hへ22km/hダウンしている。トランスミッションは冷却を見直すことで高負荷に耐える仕様となっている。

フロントのダブルウィッシュボーン式サスペンションはアーム断面を空力性能に優れたティアドロップ型とすることで最高速度でのダウンフォースを約40kg増加。またトレッドは911GT3より29mm拡幅している。リアのマルチリンク式サスペンションもスプリング・レート変更などを再調整。後輪操舵はよりダイナミックな設定とされている。

ホイールは鍛造のセンター・ロック式で、タイヤ・サイズはフロント275/35R20、リア335/30R21。ブレーキも強化され、フロントに対向6ポットのアルミ・モノブロック・キャリパーと408mmディスクを採用。ピストン径は32mm、ディスク厚は36mmと、それぞれ911GT3比で2mmアップしている



スチールより6kg軽いカーボン製ロールケージ

走行モード切り替え装置は「ノーマル」と「スポーツ」、各部を個別設定できる「トラック」の3種類で、前後のダンパーの減衰力は伸び側と縮み側が独立調整可能だ。ステアリング・ホイールには、走行モード、ダンパーの減衰力、リア・ディファレンシャルの調整などが可能な4つのロータリースイッチが設置されている。ステアリングのスポーク部にはDRSのスイッチが備わる。

新型911GT3RSは通常仕様のほかに、スチール製のロールケージとドライバー用の6点式シートベルトが備わる無償オプションの「クラブスポーツ・パッケージ」と、スチール製よりも6kg軽いカーボン製のロールケージ、カーボン織り目仕上げのボンネットやルーフ、カーボン製のスタビライザー、次期テクノロジーを採用したPDKパドルシフトなどを備えた有償オプションの「ヴァイザッハ・パッケージ」が用意される。

価格は3134万円。




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文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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