2022.08.16

CARS

フェラーリの逆襲は許さない 992型ポルシェ911GT3Rがデビュー

カスタマー向けレースなどにも用いられるポルシェのGT3規格のレーシング・カー、「911GT3R」のニューモデルが2023年シーズンからの参戦を前に発表された。現行の992型としては初のGT3Rとなる。

2019年に開発をスタート

FIA・GT3規定に準拠した新型911GT3Rレースマシンは2019年に開発がスタート。プロからジェントルマン・ドライバーまで視野に入れたドライバビリティの大幅な改善と、性能調整を見据えたパフォーマンスの余力拡大を目指した。



4.2リッターに排気量を拡大

市販型の911GT3同様にリアに搭載されるエンジンはポルシェ911伝統の水平対向6気筒で、排気量は先代の4.0リッターから4194ccへと5%ほど拡大。自然吸気で9250rpmまで回り、最高出力は排気量が同じLM-GTEマシンの「911RSR-19」用を上回る565psを発生する。しかも、パワー、トルクとも全回転域にわたって特性を最適化し、ジェントルマン・ドライバーにも扱い易いものに仕上げられた。変速機はシフト・パドルを備えた6段シーケンシャルMTで、3プレート式カーボン・クラッチ、プリロード調整可能な機械式LSDを介して後輪を駆動する。

ボディ骨格はアルミとスチールを用いた軽量構造で、外板のほとんどはカーボン製で、ホイールアーチにはアラミドを使用している。最低重量は1250kg。オルタネーターやエアコンのコンプレッサーなどの補機類はエンジンや変速機より1mあまり前方の低い位置に設置され、重量バランスを改善している。



ホイールベースを延長

4619mmの全長、2507mmのホイールベースは911GT3に対していずれも50mm程度延長。さらに、全幅はフロント2039mm、リア2050mmへと200mm近く拡幅されている。後輪位置を後退させてホイールベースを伸ばしたことで、リア・タイヤへの負担が軽減し、より長いスティントを走れるようになるという。

コクピットはシート位置を車内中央寄りに配置。改良されたロールケージなどを設置することでエルゴノミクスを損なうことなく安全性を高めた。6点ハーネスは脱着での操作性を見直し、ドライバー交代でのロスタイム短縮に寄与する。ドライバーの前に据え付けられる10.3インチのディスプレイは911GT3カップ、スイッチ類は911RSRの各車両でそれぞれ実績あるアイテムを活用している。



エンジンを前傾させ、空力性能をアップ

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、電動油圧式パワーステアリングを備える。ブレーキは前後別系統で、前後制動力配分は運転席から調整が可能。アルミ製モノブロック・キャリパーとディスクはAP製で、ボッシュ製の第5世代レース用ABSを装備する。

新しい4.2リッター水平対向ユニットは前方へ5.5°傾けて搭載されるが、これはアンダー・フロアに備わるリア・ディフューザーの自由度を広げるため。前車軸まわりの見直すことで高くなったアンダー・フロアの前端部分と相まって、床下のクリーンな気流を実現するとともに、過剰なピッチングを低減した。リア・ウイングはスワンネック型ステーを導入し、翼面の下部をスムーズにしたことで従来型のステーのものより空力効率が向上している。

車両本体価格は51万1000ユーロ(約6947万円)。受注は11月以降に開始される予定だ。


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文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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