2022.08.26

CARS

ブガッティW型16気筒の最終モデルは99台限定で6.8億円のロードスター

アメリカ・カリフォルニアで開かれていたモントレー・カー・ウイークで、ブガッティは新しいロードスターの「W16ミストラル」を公開した。最高速度420km/hを謳うオープン・トップ・モデルで、2005年のヴェイロン登場以来、連綿と使われ続けたW16エンジンを搭載する最終モデルとなる。

「タイプ57」に着想を得たエクステリア

デザインの着想は1934年に製作された「タイプ57ロードスター・グランレイド」に求められる。Aピラーへ向けて大きく湾曲したフロント・ウインドウは、2枚のガラスでV字を描くタイプ57のそれをイメージしたものだ。ブラックにイエローのアクセントを加えた配色もタイプ57譲りだが、これは創業者のエットーレ・ブガッティが自らのクルマに好んで用いた組み合わせでもあるらしい。



オープン・ボディでもCラインを構築

フロントとサイドのウインドウはシームレスな連続性を見せ、レーシング・カーのバイザーを彷彿させることを想定している。そのガラス面を後方へたどると行き着くクーリング用のエア・インテークはドア・パネルのキャラクター・ラインと相まって、屋根がないにもかかわらずにブガッティの特徴であるCラインを描く。ボディ・サイドの張り出しを抑えるため、エンジン吸気口は左右シートの頭上に設置。これはロールオーバー・バーの機能も兼ね備えている。

フロントはブガッティの特徴のひとつとなる馬蹄形ラジエター・グリルが中心に突き出し、両脇にインタークーラー用のインテークを配置。ヘッドライト、前輪近くまで後退した位置に、片側4本のLED式のバーを積み重ねた形状だ。

リアにはX字状のテールライトが配置され、その中央には赤く光るブガッティのロゴが備わる。サイドにマウントされたオイルクーラーからの熱気を排出する開口部をはじめ、リア全面が排気口のような形状で、排気経路は圧力を下げ、エンジンがもっとも効率よく作動する温度を維持するよう配慮された。



踊る象が描かれたシフト・レバー

インテリアはシロンをベースにしつつ、420km/hでも容易に情報を認識できる機能性を確保。また、100年以上の使用に耐えうるというレザー織のドア・トリムや削り出しアルミ、チタンのパーツなど高品質の素材を使用している。

インテリアの中でとくに注目すべきはシフト・レバー。削り出しのアルミとウッドに組み合わせた琥珀にはエットーレの弟で彫刻家のレンブラントが制作した踊る象のデザインが施される。これは、史上もっともラグジュアリーなロードスターともいわれる「タイプ41ロワイヤル」のボンネット・マスコットを再現したものだ。



最後の8.0リッターW16クワッドターボ

これで最後となる8.0リッターW16クワッドターボ・ユニットは、2019年に490.483km/hの世界最速記録を樹立した「シロン・スーパースポーツ300+」と同じものだというから、1600ps/1600Nmを発生する仕様だ。シャシーはシロンから屋根を切り落としただけではなく、パフォーマンスとスタイリングを両立するべく再設計されている。

生産台数は99台で、2024年の納車開始を予定している。価格は500万ユーロ(約6.8億円)とのことだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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