2021.07.11

CARS

最高速度440km/h! ブガッティ・シロンに4億円超の高性能モデル「スーパースポーツ」がデビュー

2019年に304.773mph=490.484kmを記録し、見事300mphの壁を突破することに成功した最高速挑戦用のプロトタイプの市販版として登場した「ブガッティ・シロン・スーパースポーツ300+」(以下300+)。その類まれなる性能を受け継ぎつつ、ブガッティらしい豪華さを取り入れたのが、この「スーパースポーツ」だ。







1931年のタイプ55が起源

スーパースポーツの起源は1931年のパリ・サロン(パリ・モーターショー)まで遡る。いわゆる第一期のブガッティはこのショーで、2.3リッターの直列8気筒+スーパーチャージャー・エンジンを搭載する高性能モデル「タイプ55スーパースポーツ」を発表した。このスーパースポーツという特別なサブネームを持つモデルの人気は当然のことながら高く、かのジャン・ブガッティの手によってさまざまなデザインが描き出され、それらはトータルで38台を製作。さらにそれを4WD化したタイプ53などは、いわゆる第二次世界大戦以前の第一期ブガッティの象徴的な作でもある。

この名門ブガッティがイタリアの事業家によってイタリアの地で再興されたのは1990年代を迎えてからのこと。彼らが実際にロード・モデルとして生産したのはミドシップ・スポーツのEB110シリーズのみだったが、「GT」で始まったEB110は、その後「S」、「SS」=スーパースポーツへと進化。リア・ミドシップされたSSの3.5リッターV型12気筒+4ターボ・エンジンは610ps以上を記録し、最高速は実に351km/hに到達している。

VW傘下で再起を図る

第2期ブガッティの活動停止から約20年。今度はVWグループ下で再興を目指したブガッティは2005年にヴェイロンを発売する。スーパースポーツの製作とそれによるトップ・パフォーマンスの宣言は、ブガッティというブランドにとって避けることのできない宿命なのだろう、2010年にはヴェイロンをベースとした「ヴェイロン16.4スーパースポーツ」を発表。1200ps仕様のW型16気筒+4ターボ・エンジンを搭載するこのスーパースポーツは最高速を一気に431.072km/hへと向上。30台前後が限定販売されたとされる。

そして2016年にブガッティにやってきたのがシロンの時代だ。シロンに搭載されるエンジンはヴェイロンと同様に8リッター仕様のW型16気筒+4ターボ。フルカーボンのシャシーやエクステリア・デザインなど、ヴェイロンからの進化は著しく、ミドシップのW型16気筒エンジンは1500psにパワーアップ。さらに2019年には最高出力を1600psまでに高めた「シロン・スーパースポーツ300+4」というネーミングの最高速挑戦用のプロトタイプで見事に300mphを越え、304.773mph=490.484km/484kmの壁を突破することに成功したのだ。











1600psのW18気筒搭載


そしてブガッティは2021年にシロンにもスーパースポーツを設定し、30台の限定車として来年の初頭から発売することを発表。価格も210万ユーロ(約4億3000万円)と同時に明らかにされた。シロンよりもテールが約25センチ長く、フロント・フェンダー上には第二期ブガッティが生み出したEB110のディテールを採り込むなど、過去の作品へのオマージュも忘れないシロン・スーパースポーツ。すでにその購入枠はブガッティの歴史を熟知する熱狂的なスーパーリッチによって、埋め尽くされているのかもしれない。









文=山崎元裕

(ENGINE WEBオリジナル)

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