2022.09.03

CARS

乗ってびっくり見直しました! 日産エクストレイルの新エンジンの出来栄えに驚愕!!

新型日産エクストレイル

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三菱アウトランダーと兄弟車になり、可変圧縮比エンジンのeパワーを搭載するなど、ノート、セレナと並ぶ日産の主軸、話題満載のエクストレイルの新型にテストコースで試乗した。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

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三菱アウトランダーと同様のプラットフォーム


ようやくか、という感じがするのは、既に北米ではローグとして、さらにエクストレイルとしても1年以上前に中国には投入済みで、本拠地日本が後回しになったからだろう。新型車の少ない日産にとっては期待の新型ミドルクラスSUVであるエクストレイルの販売が開始される。



2000年発売の初代から数えて4代目。先に登場した三菱アウトランダーと同様の新世代CMF・C/Dプラットフォームを採用するが、2705mmのホイールベースは先代と同じ、全幅はわずかに広がったが、全長は反対に30mm短くなった。前輪駆動と4WD、通常の5人乗りに加えて3列シートの7人乗り(4WDのみ)もラインナップされているが、パワートレインはすべてエンジンで発電した電気によるモーター駆動のシリーズ・ハイブリッドである「eパワー」となるのが特徴だ。

正式発表前とあって試乗はいつもの追浜のテストコースだったが、限られた時間でもその力強さとエンジンの滑らかさは十分に感じ取れた。

「e-4ORCE」と称する4WDモデルは、フロントに204psと330Nm、リアには136psと195Nmをそれぞれ発生するモーターを搭載、フロント・モーターだけでも電気自動車のアリアB6と同じだからパワフルなのは当然だ。

大変お金が掛かっている

前後の強力なモーターよりも印象的だったのがそのエンジンである。KR15DDT型1.5リッター3気筒直噴ターボは、VC(可変圧縮比)ターボという通称の通り、複雑なリンク機構で圧縮比を変化させ(8:1~14:1)高効率を追求した、日産が長年開発してきた自慢のユニットだ。既に海外向けには4気筒版がインフィニティに、さらに中国向けエクストレイルには今回のエクストレイルと同じ3気筒版が搭載されているが、モーターと組み合わせたeパワー仕様はこれが初登場、国内向けモデルに積まれるのも新型エクストレイルが第1号である。



1.5リッターVCターボのスペックは144ps/250Nmというものだが、巡航時はその存在を感じさせないほど静かでスムーズであり、さらにフルスロットルを与えると健康的な活き活きとしたエンジン音を発して、しかもタイヤと結ばれていないにもかかわらず、車速の伸びと同調してリニアに回転が高まる。その場合でもノートなどとは違って急に喧しく感じるようなことはないし、3気筒特有の振動もない。これは近年稀な素晴らしいエンジンではないか、と驚いた。聞けば、ずいぶんと凝ったエンジンである。

そもそも量産エンジン初の可変マルチリンク機構の上に、連結ピンやリンク・ブラケットにはDLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)コーティングや浸炭処理などレーシング・ユニットに使われるような高度な技術が採用されているという。さらにシリンダーにはプラズマ溶射コーティングも施されているという。要するに(コストにうるさい日産にしては)大変にお金が掛かったエンジンだ。これほど気持ち良く回るのなら、モーターのための発電用ではなく、エンジンだけで試してみたいと思ったのが正直な気持ちである。

もしかすると知らなかったのは私だけかもしれないが、電気自動車に注力するような姿勢を見せながら、しっかり内燃エンジンにも開発費をかけていたんじゃないか、と驚いた、というか見直した。

文=高平高輝 写真=編集部



(ENGINE 9・10月号)

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