2022.11.18

CARS

押し出しが強いベンツはちょっとという人にピッタリ アウディの旗艦A8がフェイスリフト 高級車とはこういうもの!

通好みのアウディA8L60クワトロ

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乗り心地に文句なし

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リチウムイオン電池とベルト駆動オルタネーター・スターターを備えたおかげで始動ボタンを押すと控えめにプンとスタートし、頻繁にアイドリング・ストップするが、再始動も非常に静かで滑らかだ。6割近くをアルミ材が占めるというハイブリッド・ボディながら、ホイールベース3130mm(標準ボディより130mm長い)、全長5320mmという巨体の車重は2160kgもあるから怒涛というほどパワフルな感じはないが、どんな場面でもトルクは十分以上なうえにレスポンスも鋭く、山道の急坂でもまったく痛痒を感じない。何より速度域を問わず、8段ATも含めて微妙なスロットル・コントロールにリニアに応えてくれる滑らかさが上質この上ない。フラッグシップ・サルーンで最も大切なのは、低中速で静かに繊細に走れることである。

標準ボディより軸距が130mm長いA8L60クワトロは当然広々としたレッグルームを備える。

乗り心地も文句のつけようがない。A8には可変制御ダンパー付きのアダプティブ・エアサスペンションが標準装備されるが、それに加えてこのクルマにはオプションの「プレディクティブ・アクティブサスペンション」が備わっている。これは4輪のスタビライザー・リンクに装備された電動モーターによって、ホイール・ストロークも個別にコントロールするもので、最大1100Nmという強力なトルクを生み出すモーターはマイルド・ハイブリッド用48V電源で駆動される。A8のシステムは、メルセデスSクラス同様カメラで前方の路面状態を検知するタイプだが、サスペンションが油圧作動となるメルセデスに対して、電動駆動ゆえの素早く緻密な制御が特長。Sクラスのようなまったり感とは違うが、姿勢変化は感じられるのに“ど”を付けたいほどにフラットだ。食わず嫌いせずに一度は試してほしい高級万能サルーンなのである。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



(ENGINE2022年11月号)

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