2022.10.31

CARS

50年ぶりのル・マン総合優勝でフェラーリ復活へ!! 予選でワン・ツーを獲った『フェラーリ499P』とはどれだけ凄いマシンなのか? 

半世紀ぶりにル・マン24時間レースの最高峰クラスへ復帰するフェラーリの最新マシン「499P」が公開された。

2023年からWECに参戦

2023年より世界耐久選手権(WEC。ル・マン24時間レースはこの選手権の1戦として開催される)は「LMH」クラスと「LMDh」の2クラスによって総合優勝が争われる。このうち、499PはLMHクラスのマシンとして開発された。車名の「499」は1気筒あたりの排気量が499ccであることを示し、「P」はプロトタイプを表している。



トヨタと同じLMHクラスで挑む

LMHクラスは車両全体をメーカーが独自に開発できるため、技術的な自由度が幅広く、スタイリングにしても自社のブランド・イメージを打ち出すのが容易だ。いっぽうのLMDhクラスは、シャシーやドライブトレインの一部がワンメイク制(技術競争の過熱や越すと高騰を防ぐため、参加する全メーカーが共通部品を使用するルールのこと)とされているため、参戦コストは低く抑えられるが技術的にもスタイリング的にも制約が多いという違いがある。

「フェラーリは自動車メーカーです。私たちに、パーツを(サプライヤーから買ってきて)クルマをつくるという思想はありません。今回、ル・マンの最高峰カテゴリーに復帰することを決めたのは、自分たちでクルマを作れるようになったことが最大の理由です」
フェラーリのルマン・プロジェクトを率いるアントネロ・コレッタ氏は、復帰を決めた背景をそう説明した。



ロード・カーを彷彿させるデザイン

発表された499Pがフェラーリのロード・カーとどことなく似ているように見えるのは、したがって偶然でもなんでもない。とりわけフロント・ノーズは、最新ロード・カーである「296GTB/GTS」の影響がくっきりと表れているように見える。

コレッタ氏はさらにこう続けた。
「私たちはまず、風洞実験を通じて理想のボディ形状を追求したあと、フラヴィオ・マンゾーニをリーダーとするチェントロ・スティーレ(デザイン・センター)の協力を仰いでスタイリングを決めました。どのようなスタイリングにするかは非常に重要でした。人々がこのマシンを見たとき、『あ、フェラーリだ!』と認識していただくことが大切だったのです」

さらにはエンジンも296GTB/GTSの流れを汲むもので、排気量3.0リッターの120度V6ツインターボがミドシップに搭載される。



50年ぶりのル・マン制覇を目指す

ライバルのトヨタは2021年から、そしてプジョーも2022年から実戦に挑んでマシンの熟成に努めているLMHクラス。フェラーリは2022年7月にフィオラノでシェイクダウンテストを行なって以来、ポルティマオ、モンザの各サーキットで合計1万2000kmものテストを行ない、追い上げを図っている。

1973年の「312PB」以来、半世紀ぶりにル・マン24時間の総合優勝に挑戦するフェラーリがどんな活躍を示してくれるのか。499Pの初戦は2023年WEC開幕戦のアメリカ・セブリングとなる。



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文=大谷達也

(ENGINE WEBオリジナル)

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