2022.11.28

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カラーリングの妙でクラシカルなイメージを刷新した「アイ・ダブリュー・シー」の新作【時計選びの新基準:自分だけのマスターピースを探せ!】

時計選びの基準が新たな局面に入ってきた。

これまでは使用するシーンを意識したルール的なものが存在したが、今は自身の”個性”や時計の持つ”物語”をより重視するように。性別やスタイルを超えたデザインやサイズ、また、環境に配慮した素材や従来の常識を覆す性能、異ジャンルとのコラボレーションなど、新たな取り組みが増えてきている。

そんな”これから”の時計選びの楽しみ方を「ネオ・ヴィンテージ」「モアバリュー」という要素に注目し、「アイ・ダブリュー・シー」渾身のモデルの魅力を通して紹介する。

色の操作でモダナイズ

レイルウェイのミニッツカウンターと端正なアラビア数字、リーフ型針を、1939年誕生の初代から継承する。「ポルトギーゼ」は、IWCの中でパイロット・ウォッチと比肩する長い歴史を持つ。何度かの限定復刻を経て、レギュラーコレクションに返り咲いたのは、1993年のこと。その5年後にはクロノグラフが、2000年にはIWCの生ける伝説クルト・クラウス氏設計によるパワーリザーブ計が備わるオートマティックがラインナップに加わっ
た。上の2つは、その最新作である。

ポルトギーゼ・クロノグラフ
縦2つ目のパンダダイアルは、実に個性豊かだ。搭載するCal.69355は自社製クロノグラフのエントリー機との位置付けながら、コラムホイール式でスイングピニオン方式の垂直クラッチという高級機並みの設計を持つ。また自社製搭載に伴い、シースルーバックとなった。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径41mm、3気圧防水。101万7500円。

クロノグラフのアイコニックな縦2つ目と、オートマティックの左右のインダイアルをネイビーブルーに染め上げた2トーンダイアルが、色数を増やすことをあまり好んでこなかったポルトギーゼでは新鮮。インデックスと針も同じ色調のブルーに整えられ、実に爽やかな印象である。パンダ仕様のダイアルはレーシィな雰囲気で、エンジン読者の心にも刺さるのでは? 自社製搭載となったクロノグラフはラバーストラップと組み合わせ、スポーティな印象も併せ持たせている。クラシカルな「ポルトギーゼ」が、色の操作で適度にモダナイズされ、イメージを変えた。


1939年に誕生した初代「ポルトギーゼ」。懐中時計用ムーブメントを包むケースの直径は42mmと、当時としてはかなりの大型だった。

初代「ポルトギーゼ」は、ポルトガル商人からの「マリンクロノメーターに匹敵する精度の航海用腕時計を」とのオーダーで生まれた。モデル名は、これに由来する。そして当時最高精度だった懐中時計用ムーブメントを搭載するため、大型のケースを用いることとなった。ポルトギーゼは、ビッグウォッチの祖でもあったのだ。その初代と同じ日付表示がない2針+スモールセコンドは、長く限定モデルにしかなかった。

ポルトギーゼ・オートマティック
横2つ目のパンダダイアルは、クロノグラフかと見まがう。大型ケースに潜むCal.52010は、自社製自動巻きの旗艦機。7日間のロングパワーリザーブは、2000年からの伝統である。クロノグラフも含め、ブルースチール製の針とインデックスは、発色が鮮やか。ホワイトのダイアルにクッキリ浮き立ち、見やすい。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42.3mm、3気圧防水。158万4000円。

2020年、満を持して登場した初代の姿をなぞらえたレギュラーモデル「ポルトギーゼ・オートマティック40」は、意外にもコレクション史上最小の
40.4mmケースでの登場だった。搭載するのは、最新の自社製自動巻きキャリバー82200。同じ年、このキャリバー82000系をベースとしたパーペチュアル・カレンダーも新登場したが、これも同機構としては歴代最小となる42.4mmケースが与えられていた。

これら”スモール”ポルトギーゼをIWCファンは、大歓迎した。初代から受け継いできた上質なクラシック感はそのままに、日常で取り扱いしやすくなったからだ。

そこに今年、新色のグリーンダイアルが投入された。多くの他社がグリーンをラインアップする中、ポルトギーゼにふさわしい深い色調をIWCは選んだ。そしてダイアルのベースにサンレイ加工を施すことで、華やかさを添えた。シックでエレガントなグリーンダイアルは、ビジネスシーンでも使えそう。どちらも、ストラップもダイアルと丁寧に色合わせされ、トータルにカラーコーディネイトした。



ポルトギーゼ・オートマティック 40
深淵な色味のグリーンダイアルは、落ち着きある佇ずまいを呈する。丁寧に磨かれたロジウム仕上げの針と植字インデックスが映え、視認性も秀でる。搭載するCal.82200は、1946年に完成した独自のペラトン式自動巻きを継承。一部のパーツをセラミック製とすることで摩耗を防ぎ、耐久性を高めている。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径40.4mm、3気圧防水。90万7500円。

ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42
Cal.82000系ベースの新設計の永久カレンダーは、「ポルトギーゼ」としては異例のセンターセコンドが新鮮である。結果、ダイアルは3つ目に整理された。1985年にクラウス氏が発明した4桁の西暦表示に代わり、9時位置のインダイアル内に閏年表示を装備。一方、リュウズで暦を一斉送りできる優れた操作性は受け継ぐ。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42.4mm、3気圧防水。316万2500円。

◆IWCの詳しい商品情報についてはコチラ!

問い合わせ=IWC Tel.0120-05-1868

文=高木教雄 写真=近藤正一


(ENGINE 2023年1月号)

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