2022.12.23

CARS

0−100km/h加速は3.8秒! スーパースポーツカーも真っ青の加速が凄い!! あきれるほど速い新型アウディRS3

アウディRS3

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400psの5気筒ターボにアウディ得意のクワトロを組み合わせ、A3の最速・最強モデルとして君臨するRS3が新型へフルモデルチェンジ。リア・デフに新機構を加えるなど、さらなる進化を遂げてきた。モータージャーナリストの大谷達也がリポートする。

「RSトルクスプリッター」の威力

待望の新型アウディRS3がついに日本上陸を果たした。Cセグメントのコンパクト・ボディに直列5気筒2.5リッターターボ・エンジンを押し込んだRS3は、パワフルな走りと5気筒エンジン独特のビート感でこれまでファンを魅了してきたが、新型はフルタイム4WDシステムのクワトロに、まったく新しい「RSトルクスプリッター」と呼ばれる新機軸を搭載したところが最大の注目点となっている。



このRSスプリッター、リア・デファレンシャルギアと左右後輪の間に独立して制御可能な電子制御式多板クラッチを挟み込んだものと考えていただけばわかりやすい。もしもコーナリング中に内輪のトルクを切って外輪のみにエンジントルクを伝えれば自然とヨーが発生してコーナリングを手助けするのはご想像のとおり。駆動力を使ってヨーをコントロールする4WDという意味では、三菱の「スーパーAYC」に近いともいえるだろう。

その効果はテキメンで、ドライビングモードを「コンフォート」から「オート」、「ダイナミック」へと切り替えると、コーナーの入り口でクルマが自ら曲がっていこうとする傾向が次第に強まっていく様子が手に取るようにわかる。



さらに面白いのが、たとえばコンフォート・モードではコーナリング中にスタビリティ・コントロールが作動するような状況でも、ダイナミック・モードにするとこれがピタリと収まるところ。駆動力配分を適切に行なうことで、タイヤの負担が平均化されて横グリップに余裕が生まれた結果、スタビリティ・コントロールが介入しにくくなるものと推測される。

RS3には、後輪に伝わる駆動力を外輪のみに伝えるRSトルク・リア・モードも設定されており、これを選ぶと車両自体が積極的にオーバーステアを生み出すように制御される。このためスタビリティ・コントロールは事実上オフとなるので、公道での使用は推奨されていない。是非とも、サーキットなどでその効果を試してみたいものだ。



5気筒も素晴らしい

先代からブロックがアルミ製に切り替わった5気筒エンジンは、最高出力は400psで変わらないものの、最大トルクが20Nm引き上げられて500Nmを発揮。0−100km/h加速は3.8秒と、もはやスーパースポーツカー並みのパフォーマンスを実現している。ただし、トルクカーブがフラットなために実に扱いやすく、ワインディング・ロードを攻めていてもそこまでパワフルとは感じられないのは面白いところ。これには、クワトロによるスタビリティの高さも間違いなく関係しているはずだ。



「プロロロロ……」と表現したくなる5気筒サウンドは、先代と比べてやや控えめになったものの、独特のビート感は新型にも受け継がれている。振動の面では不利な5気筒だが、吹け上がりはバランスの取れた気持ちいいものなのでご安心いただきたい。

乗り心地は洗練されていて快適。試乗車が装着していたタイヤはピレリPゼロの19インチだったが、路面からの入力はしっかり軽減されているので、RSだからといって身構える必要は皆無。そのパフォーマンスの高さとテクノロジーの熟成度において、もはやCセグメントを超えたハイパフォーマンス・カーといっていいだろう。

文=大谷達也 写真=茂呂幸正



(ENGINE2023年1月号)

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