2021.07.10

CARS

新型BMW M4、2ドア・スポーツ・クーペ・ライバル比較! アウディRS5、レクサスRC Fと比べてみた!

M4とほぼ同じ価格帯の、2ドアのスポーツ・クーペであるアウディRS5とレクサスRC FをM4と比較試乗した。エンジン編集部の3人は何を思ったのか?


甲乙つけがたいRS5

上田 M4とまさにガチンコな2台を登場させましょう。いずれもボディ・スタイルが2+2のクーペで、価格は1300~1400万円ほど。ただし駆動方式は違って、BMWM4と同じ後輪駆動なのがレクサスRCF。4輪駆動になるのがアウディRS5です。


村上 RS5のクーペに乗るのははじめてだけど、スポーツバックには以前サーキットで乗ったんだよね。で、S5のスポーツバックにもこの間乗った。どっちもいいなぁ、と思って、やっぱりクーペよりもスポーツバックの時代だと思っていた。でも、今回RS5クーペに乗ったら、いやはやこれまたM4と甲乙付けがたいくらいいいクルマだ、と思ったんだよ。クルマの乗り味や、感触がものすごくスポーティなのに、とても運転しやすい。


S5のシングルターボがツインターボに なり約100psパワー・アップしているRS5。 カーボン製となるエンジン・フードやミ ラーのカバーはいずれもオプション。M4 同様にカーボン・ブレーキを装着してい たが、こちらもともに100万円前後のオ プション設定である。前後20インチの5 スポーク・タイプのホイールに組み合わ せているのはコンチネンタルのスポーツ・ コンタクト6。

上田 でも、全体的にM4ほどの身軽さはなかったですよね。


村上 とは言っても、重厚というほどじゃないよね。あとね、RS5よりも、S5の方がいいかもしれない、っていう気もしたんだよ。バランス的にもね。対するM4はそうじゃない。M4とM440iは全然違う。RS5はS5よりスポーツに特化しているけど、基本的な素性は同じ感じがする。



新井 S5もRS5もサーキットのイメージが浮かばない。そういうところがクルマづくりに出ているのかな。M440iも浮かばないけど、M4はサーキットを走る姿が想像できる。サーキットまで含めて、クルマを仕上げているというのかな。アウディはちょっと極端に言えば、Sに対してRSはより速く、より高いパフォーマンスを得られるようにしているだけですよ。それはセッティングにも現れている。RS5は、サスペンションをいちばん穏やかなモードにしている方が統一感がある。速く走りたくてもハードな設定にしない方がいい。


村上 硬い方にすると、ちょっと公道ではやってられない。


新井 これはもしサーキットへ行くなら、っていうモードですよね。


村上 普通に走るならオートでも硬すぎるくらいだった。


新井 その代わりスプリングもダンパーもブッシュも、全部穏やかな方で統一感がある。M4は逆に、硬いときに全部がピタっと合っている。だからRS5はものすごく速いGTだな、って思いましたよ。


外装色サンパウロ・イエローと内装色ヤス・マリナ・ブルー/ブラックの組み合わせはM4のイメージ・カラー。実際には写真ほど派手な印象を受けない。ボディ・カラーは基本7色。よりカスタマイズが可能なインディヴィジュアルでさらに5色が設定されている。

スポークとパドル部分がカーボンとなるMスポーツの革製ステアリングの形状は真円だが握りがかなり太い。これは標準装備だが、カーボン素材の内装トリムは約15万円のオプション設定。

素のM4は最高出力480psだが、試乗車のM4コンペティションは510psを発揮。

村上 対するM4はGTでもあるけど、それ以上にスポーツカーであることを指向している。もしこの2台のベン図を書くとしたら、円と円がすごく重なっているけど、最終的に指向しているところは違うから全部は重ならない。


上田 で、対するレクサスはちょっと不思議な立ち位置というか……。


村上 これこそ我が道を行っているね。V8の自然吸気エンジンのこんなクーペ、もうほかにないよ。


上田 コルベット……はミドシップになっちゃいましたし。


試乗車はRC Fの中でも最上位のパフォーマンス・パッケージ。M4のように最高出力の変化はないが、エンジン・フードやルーフはカーボン化され、他のモデルでは格納式になるウイングが固定式になり、チタン製マフラーが奢られている。前後19インチのBBS製鍛造ホイールに組み合わせられるのはM4同様にミシュランのパイロット・スポーツ4Sとなる。カーボン・ブレーキは標準装備。

村上 自然吸気V8をとことん楽しみたい人はこれしかない。米国ではISにも搭載したみたいだけどね。


新井 IS500Fスポーツですね。


村上 とにかく、味わいがあるよ。吹け上がっていく時の感じは自然吸気ならでは。オンリーワンだね。


新井 峠道では、オールドスタイルなものとしてはすごく統一感が取れていると思いました。


上田 デビューは2014年ですからね。ほかの2台に対して、2世代近く古い。


村上 なにしろ、パーキング・ブレーキが足踏み式。出発に手間取った(笑)。それ以外にも、これだけはメーターの針も液晶じゃなく、リアルなものを使っている。すべてが古いけど、ある種の頂点を極めていると思うよ。愛でて味わって乗る1台。



新井 羽根とかマフラーとか見た目はすごいけど、乗ってみるとそこまでカリカリじゃない。嫌なところや引っかかるところもない。8割くらいのペースで飛ばしていると、すごく気持ちいい。乗り心地とハンドリングをうまくバランスさせている。


上田 本音を言えば、もうちょっといい声で歌って欲しいかな。LFAとまでいかなくとも……。LCみたいな演出をせず、実直にパワーを絞り出す方に振っているのかもしれませんね。


悩まない3台

村上 最初に上田君がガチンコって言ってたけど、この3台でどれを選びますか? って尋ねられても悩むクルマじゃないと思う。


上田 確かに。三者三様ではありますが。


新井 どれもレベルが高いから、本当に自分の好みがバチっと決まっている人は悩まないと思う。


村上 むしろガチのライバルは自分のブランドの中の別のクルマ。


上田 個々のブランディングがしっかりしているとも言えますね。


新井 でも、もしここにメルセデスAMGのC63が入ると、ちょっとかき回すことができると思いますよ。M4とRS5の間にバチンと入る感じかな。新しいM4はC63にずいぶん寄ってきているし。


村上 ベン図がそうとう重なるね。


新井 クルマの性能の枠自体が大きくなっているから、重ならざるを得ないんですよね。


村上 そうだね。ピンポイントなクルマはない。焦点がたくさん。


上田 みんなマルチプレイヤー。


新井 レクサスが今後、RCの後継モデルをどうするかはまだ分かりませんが、もし続くならやっぱりほかの2台と重なると思いますよ。今のRCFは、まだベン図の枠が小さいんです。でも自分のユーザーになる人たちのことをすごくよく分かっていて、その人たちに向けて、すごく説得力のあるものはできている。カーボン素材を多用したり、あそこまでの造り込みだから仕方がないんですが、ちょっと割高ですけどね。


上田 でもそうなると、またほかのクルマも進化するから、枠がさらに広がっていく。


新井 その繰り返しだよね。


村上 でもBMWだけは、けっこう違うところがある気がするな。重なってはいるんだけど、向いている方向が違うというか。


上田 そのせいかもしれないですが、この3台、驚きという面では、やっぱりM4が一番だった。


村上 確かに、一番衝撃的だった!


話す人=村上 政+新井一樹+上田純一郎(すべてENGINE編集部、まとめも) 写真=望月浩彦


■アウディRS5
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4715×1860×1365mm
ホイールベース 2765mm
トレッド(前/後) 1605/1595mm
車両重量(前後重量配分) 1750kg(1020kg:730kg)
エンジン形式 水冷V型6気筒DOHCターボ
排気量 2893cc
最高出力 450ps/5700-6700rpm
最大トルク 61.2kgm/1900-5000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) マルチリンク
サスペンション(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前/後) 275/35R20
車両本体価格 1340万円


■BMW M4コンペティション
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4805×1885×1395mm
ホイールベース 2855mm
トレッド(前/後) 1615/1605mm
車両重量(前後重量配分) 1730kg(910kg:820kg)
エンジン形式 水冷直列6気筒DOHCターボ
排気量 2992cc
最高出力 510ps/6250rpm
最大トルク 66.3kgm/2750-5500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット
サスペンション(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前/後) 275/35ZR19/285/30ZR20
車両本体価格 1348万円


■レクサスRC Fパフォーマンス・パッケージ
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4710×1845×1390mm
ホイールベース 2730mm
トレッド(前/後) 1555/1560mm
車両重量(前後重量配分) 1720kg(950kg:770kg)
エンジン形式 水冷V型8気筒DOHC
排気量 4968cc
最高出力 481ps/7100rpm
最大トルク 54.6kgm/4800rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前/後) 255/25ZR19/275/35ZR19
車両本体価格 1432万円


(ENGINE2021年6月号)

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