2023.01.13

CARS

新感覚の四角いステアリングを採用 プジョーがラスベガスのCESでEVのコンセプト・カーをお披露目

プジョーが米ラスベガスで開催されたデジタル関連の見本市である「CES2023」で、「インセプション・コンセプト」を発表した。車名のインセプションは「始まり」を意味し、プジョーの電気自動車=バッテリーEV(BEV)の未来像を示すモデルとなっている。

大型サイズのEVセダン

プジョーが属するステランティス・グループでは「BEVバイ・デザイン」と銘打った4種類のプラットフォームの投入を計画している。そのうちの大型乗用車用の「STLAラージ」を用いたインセプションは、全長は5000mm、全高は1340mmのボディ・サイズを持つ観音開きの4ドア・セダンだ。



680psで800kmを走行

100kWhのバッテリーと800Vの動力システムを搭載し、航続距離は800kmを想定。1分で30km、5分で150km走行分の電力が補充できる。パワートレインは前後に計2基のモーターを積む4WDで、システム最高出力は約680ps、0-100km/h加速はスーパースポーツカーと同レベルで3秒を切るという。



ハイテクとプジョーらしさを融合

エクステリアは逆スラント・ノーズと吊り目のヘッドライトを持つフロントまわりがかつての「プジョー505」を彷彿させる。ライオンの爪痕がモチーフのヘッドライト、3本の細い水平ライン、エンブレムがミラーエフェクトの1枚のガラスで覆われるフロント・エンドは運転支援装置用のセンサー類のハウジングも兼ねている。「エアロリム」と呼ばれる22インチのホイールは、市販車の408が履く20インチのような線対称のデザイン。ホイール・センターのエンブレムにはイルミネーションが組み込まれ、走行中も回転しない。

大きくえぐられたボンネット部にまで伸びたフロント・ウインドウをはじめ、7.25平米のガラス・エリアには建築用ガラスを使用。表面にはNASAの宇宙飛行士用ヘルメット・バイザーに用いられるコーティングが施されている。直線的なキャビン形状に映画『ブレードランナー2049』のスピナーを思い出したのは、あの劇中車がプジョー製という設定だったことに引きずられてのことだろうか。

ボディ・サイドに設置された「テックバー」は乗降する乗員への挨拶や充電状況といったメッセージを表示する。リア・エンドはフロントと似たような処理だが、2層ガラスによって立体的なビジュアルを実現した。



ステアリングが四角い

インテリアはプジョーの提唱する「iコックピット」の未来像を示唆。ステア・バイ・ワイヤの採用で設計の自由度が高まったステアリング・ホイールは四隅に丸い穴の空いた四角い形状で、そこにメーターなどの表示やタッチ式の操作部を一体化した。この「ハイパースクエア」と銘打たれたステアリングは自動運転時に収納され、代わりに大型パノラマスクリーンがフロアから迫り出してくる。

ドライバーの前には「ヘイロークラスター」と呼ばれる円周ディスプレイを配置。360度表示で車外へ向けても情報提供できる。シートはラウンジのソファーを思い起こさせるワイドで大ぶりな形状だが体型にアジャストする構造で、再生ポリエステルを3Dプリントしたベルベット調素材や空気を緩衝材に用いるエアキルティング・マットレスを表皮に使用する。



2025年に5モデルの新しいEVを投入

プジョーは今回のCES2023で、2023年にラインナップのすべてのモデルに電動化モデルを導入し、その2年後には5車種の新しいEVを投入すると発表。今回のインセプションは新型プラットフォームや2020年代中の実用化を目指しているハイパースクエアなど次世代EVに投入される技術のショーケースなのだ。斬新なデザインの導入にも積極的な昨今のプジョーのこと、電動化の技術だけでなく、この前衛的なスタイリングや内装の片鱗が、市販車に反映されることにも期待したいところだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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