2023.01.15

CARS

EVへの乗り換えだけが正解ではない トヨタがカーボン・ゼロ実現への新しいアプローチを披露 

「東京オートサロン2023」の開幕からまもなく、最初のカンファレンスを行ったのはトヨタだ。豊田章男社長のユーモアを交えた挨拶ではじまったトヨタのカンファレンス。会場に訪れたプレス関係者はもちろんのこと、YouTube配信により、プレス以外の多くのトヨタ・ファンやユーザーなどもその模様をライブで見ることができた。

AE86を水素エンジンとEVに

今回もトヨタ・ブースには、トヨタ、GR、レクサスから多数のコンセプト・カーや発売予定車、競技車両などが出展された、そのなかでもひと際目立っていたのがAE86をベースにした2通りのコンバージョン・モデルだ。トレノの方は既存のガソリン・エンジンをベースに水素燃料仕様に改造、レビンの方はガソリン・エンジンをモーターに置き換えることで電気自動車=バッテリーEV(BEV)に変更している。



電気自動車一辺倒ではない

温暖化への危機感が高まり、その主要因のひとつである二酸化炭素排出量削減を図るべく、政府は自動車に関しても減税や補助金の給付を行うことで低燃費やクリーンエネルギー車への買い替えを推進。メーカー各社もこれに沿った商品展開を進めている。もちろんトヨタとレクサスも脱炭素化に向けBEVへとシフトの機運が高まるなか、完全電動化プランなどを打ち出している。

その一方でトヨタはBEV一辺倒ではなく、水素を含めたエネルギー・ミックスの可能性を追求する。クリーンな水素生成技術が確立されれば、BEV以外でもカーボン・ニュートラルを達成するための強力な手段が加わることになる。



旧車の生き残りも図れる

それでも、「新車をゼロエミッション化しても、既存のエンジン搭載車が存在する限り脱炭素は実現しない」と豊田社長は語る。それは自明の理だ。そこで登場したのが今回東京オートサロン2023に出展された2台のAE86だ。すでに販売済みである内燃機関を積むクルマを水素エンジンもしくは電気自動車=バッテリーEV(BEV)にすることでカーボン・ニュートラルの達成を後押しするとともに、カーボン・ニュートラル時代での既存車の生き残りを図ろうと考えている。

どちらのコンバージョン・モデルもまだ研究段階だが、将来的にはオーナー車への展開も検討していることを豊田社長は示唆した。いちエンジン好きの旧車オーナーとしては、理想と現実を両立しながらクルマ好きの希望も織り込んだこのプロジェクトが成功することを期待してやまない。



文=関耕一郎 写真=宮門秀行

(ENGINE WEBオリジナル)

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