2024.01.21

CARS

アルファ・ロメオ156とボルボ940ポラール・エステートのちょっと古いクルマ2台持ち! オーナーが欧州車に目覚めたのはあの自動車美術館がきっかけだった

様々な欧州車を乗り継いできたオーナーの現在の愛車はアルファ・ロメオ156(1997)とボルボ940ポラール・エステート(1995)

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3人の子育てとともに過ごした147との日々は幸せそのものだったが、忙しさもあり車検を切らし調子を崩しがちに。結局147は貴美さん用のゴルフに化けた。則宏さんは館長からアウディA3クワトロのMT車を薦められるのだが……。

能條家では貴美さんが主に乗るボルボ940エステートは1995年型の2.3リッター直4搭載モデル。布シートでサンルーフが付いておらず、リア・ガラスがスモーク・ガラスでないこと、という則宏さんの挙げた細かな、でも譲れない条件をすべて満たす数少ない仕様。


「速いけど、どこか気持ちが良くなくて……。ゴルフもそうで、乗るとなんだか口がヘの字になっちゃう」

その理由は、なんと息子さんが教えてくれたという。アルファ・コルセや147ではクルマ酔いをする彼が、アウディでは全然平気だった。

「荷重移動が少なく安定しているのがお兄ちゃんには良かった」

でもクルマが前後左右に動くことは、操る楽しさにも繋がっている。結局コーナーに入る時の操舵の速さを一定にし、舵角を一発で決めるよう、則宏さんは腕を磨いた。



能條家には一時アバルト500も来たことがあったが、則宏さんは147への思いを断ち切れずにいた。そこへ欧州仕様のアルファ・ロメオ156の出物の知らせが入る。これに乗ると、見事に口元が緩んだ。

「V6のあの音と、しなやかな足。たどり着いたな、って思いました」

アルファ・コルセと147を乗り継いだからこそ、この156の絶妙な仕立てを理解できたのだった。

そしてゴルフの後釜となったのがフランス車でなくボルボ940だ。



「館長の紹介で156を整備してもらっている所に940も入庫していて、ものすごく薦められて。最初は聞き流していたんですが(笑)、一度座らせてもらったら居心地がいい」

940は同世代の欧州車より遥かに整備性がよく、家族5人と大荷物も飲み込む。貴美さんは「ゴルフより大きいけど駐めたい所に真っ直ぐ収まる」と喜び、末の息子さんは乗ると「マジでいい」とすぐ寝てしまう。意外や走りも文句なしだった。

「156で家族全員が乗ると、コーナーで前が抜けちゃって走りにくいのに、940は5人乗せた時の安定感というか、しっかり感がいい」

156は13万km、940は11万kmを超えているが、いずれも徹底した整備を受け調子は上々。156はミラーの色など過去にわずかに手が加えられていたそうだが、基本、940ともども則宏さんによって常に磨き上げられ、ほぼ新車当時の姿を保つ。


見た目も性格もまるで違う2台だが、不思議な共通項があるという。

「身体に馴染む感じがあるんです。なんだかクルマから、こっちにそっと寄ってきてくれるような……」

そう言って2台を見る則宏さんと、そうやってクルマの話を楽しそうにする彼を見つめる貴美さんの顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。則宏さんがへの字口になることは、当分なさそうである。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=神村聖 協力=カークラフト

(ENGINE2023年2・3月号)

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