2024.01.17

CARS

そんなに好きならと店主が秘蔵のフェラーリ・ディーノ246GTを譲ってくれた嘘のようなホントの話 想いを貫いていたらチャンスが巡ってきた! 

ディーノ246GT(1972)とフィアット500(2012)のイタリア車2台持ちを楽しむオーナーの井之上さん。

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自家製のガレージに収まるディーノ246GT(1972)とフィアット500(2012)のイタリア車2台持ちを楽しむ井之上泰巳さん。少年時代からディーノひと筋。クルマ好き少年たちの多くを虜にしたスーパーカー・ブーム。井之上さんもその波の中で熱狂したひとりで、ディーノに心を奪われる。その後、20代半ばに手に入れてからは片時も離さず、愛でる日々が続く。

愛車に愛情をたくさん注いでほしい!

「現行チンク(エチェント)とはまだ10年の付き合いですが、ディーノとはもうすぐ30年になります。どっちのクルマでもあちらこちらへ行きましたが、未だに積載車のお世話になったことがない記録を更新中です。これから輸入車に乗られる方は、輸入車は壊れるという固定観念を捨て、日頃のメンテナンスと愛情を愛車にたくさん注いで愉しんでもらいたいと思います」



いきなり自動車のプロらしい的確なコメントをしてくれた井之上泰巳さんは会社員として自動車の整備を行っている。

会社勤めでディーノを愛用しているとはスゴイな……と感心する方が多いと思うが、井之上さんはこの246GTをいまでは想像できないぐらいの安価で購入している。

「スーパーカー・ブームのときからディーノのことが好きで、ひと筋なんですよ。ボディが大きいクルマは苦手で、ロータス・エランのような小さいスポーツカーが好きです。ディーノのボディは私にとってベスト・サイズだと言えます」。

ブーム全盛時の子どもたちのアイドルといえばランボルギーニ・カウンタックだったが、漫画『サーキットの狼』に登場したハマの黒ヒョウの影響もあり、井之上さんのなかでカウンタックはあまりいいイメージではなかった。一方、地元の展示会にディーノが来たこともあり、フェラーリの創業者であるエンツォの長男の愛称が付けられたスポーツカーへの思いは少年時代から強くなっていく。



「ディーノへの想いを貫いていたら、自分にチャンスがめぐってきました。バブル景気最後の頃です。雑誌の広告でディーノを見つけ、ショップに行ってみたら赤い206と246が1台ずつ置いてありました」

206のほうはペブル・ビーチ・コンクール・デレガンスで2位になったことがあるキレイなクルマだったという。

「ショップを訪問した当日はディーノの写真を撮らせてもらったりしただけで帰宅したのですが、後日電話があり、実はディーノの売り物がもう1台あることを教えてくれたんです。カリフォルニアで乗られていたワンオーナー車で、走行距離は1万8000マイルでした」



急遽ショップを畳むことになり、その片付け中に店主が秘蔵の1台を処分したくなって、井之上さんに電話してきたそうだ。

「そんなにディーノのことが好きなら見に来ます? と言われたので、クルマが保管されている静岡まで行きました。そうしたら、馬小屋みたいな建物の中にディーノが入っていたんです。がんばれば出せる金額だったので、迷うことなく買うことにしました」

カリフォルニアにあったクルマなので、濃いガンメタの車体の下まわりはとにかくキレイだったという。



自動車整備士の井之上さんは手に入れてすぐに自分が勤務している会社で1回目の塗装を行う。このときはメタリックのラメが粗目のシルバーでオールペイントする。現在のカラーリングはいまから7~8年前に細目のラメを用いたメタリックのシルバーで再び全塗装したものだ。

「塗色を作るときにいろんな色を混ぜて作りがちですが、後々のことを考えて、このシルバーは1色だけで作っています。部分的に再塗装したり、オールペイントするときに色を作るのに困りませんからね」



一度オイル下がりを起こしたエンジンを直したぐらいで、大きなトラブルがないという井之上さんのディーノは、自動車整備士であるオーナーがちょこちょこメンテナンスしていることもあり、立往生することなく走り続けている。現在の走行距離は3万マイルぐらいになったが、今後も積載車のお世話になることはないだろう。

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