2023.03.02

CARS

ブレーキ・ペダルを踏むと自動的に閉じる1.5mの巨大なコーチ・ドアは圧巻! ロールス・ロイス初のEV、スペクターに初試乗!! 斬新な内外装は必見の価値あり!

ロールス・ロイス初のEVとなるスペクター。

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かねてよりバッテリーEVのプロトタイプを発表し、市販化を明言してきたロールス・ロイス。その第一弾は、なんと2ドア・クーペだった。南アフリカで行われた国際試乗会に参加したモータージャーナリストの大谷達也がリポートする。

発売前プロトを部外者が運転するのはロールス史上初

ロールス・ロイス初のEVとなるスペクターには、いかにもロールス・ロイスらしい4ドア・リムジンではなく、ファストバック・スタイルが印象的な2ドア・クーペのボディが与えられた。その理由を、顧客と定期的に対話しているというトルステン・ミュラー-エトヴェシュCEOは次のように語った。「お客さまはロールス・ロイス初のEVを1日も早く見たいと切望されています。とりわけそういった意向を強く持っていらっしゃるのが若いお客さまです」



彼らは自慢のロールス・ロイスを自ら駆ってロンドンやニューヨークのハイストリートに繰り出すのだろう。だとすれば、ショーファードリブン向きのリムジンではなく、よりパーソナルな2ドア・クーペが選ばれたのは当然のことといえる。

ただし、ロールス・ロイスはこれまで手がけてきたエンジン車の製品と同様に、いや、それよりもはるかに入念なテスト・プログラムを組んでスペクターの開発にあたっている。その総走行距離は250万kmにも上るが、現在は5つのフェイズからなるプログラムの3段階目を南アフリカで実施している真っ最中。そこに世界中から9名のメディア関係者をテスト・ドライブに招き、そのフィードバックを今後の開発に生かそうとしているのだ。ちなみに、今回のように発売前のプロトタイプを部外者が運転するのは、100年を超す同社の歴史で初めてのことだという。

長さ1.5mの巨大なコーチ・ドアは、運転席に乗り込んでからブレーキ・ペダルを踏み込めば自動的に閉じる。ダッシュボード左下(今回の試乗車は左ハンドル)のスタート・ストップ・ボタンを押してシステムを立ち上げてもキャビンが無音のままなのは、従来のロールス・ロイスとほとんど変わらない。なにしろ、これまでのロールス・ロイスも電気モーターをお手本としてエンジンを開発してきたのだ。ドライバーが物足りなく思うのではないかと心配して人工的なエンジン音を付加する必要性など、もとよりまったく認めなかったことだろう。

Aピラーの付け根の部分にはロールス・ロイスお約束の傘が収納されている。

全幅2mを超す巨大なスペクターを、ホテル敷地内の狭い取り付け道路で走らせてもなにひとつ不安を覚えなかったこともまた、これまでのロールス・ロイスとまったく同じ。それはボディの見切りが素晴らしくいいことにくわえ、例によってステアリングが例外的に正確なことによる。この、無粋な振動を一切伝えないステアリングを、ここまで緻密に反応させるように仕上げるのに、どれほどの手間と労力がかかったことだろうか。試乗前のブリーフィングで、同社の技術部門を率いるミヒアル・アヨウビは「ロールス・ロイス特有の『接地感はあるけれど路面と隔絶された印象のステアリング・フィール』を目指した」と語ったが、言い得て妙だ。

1時間半ほどの試乗では市街地や郊外のオープン・ロード、さらにはワインディング・ロードと様々な道路環境を体験できたが、スロットルペダルを踏み込めば、いつでも潤沢なトルクが湧き上がるように得られることや、「魔法のじゅうたん」と称される快適でフラットな乗り心地は、いずれもエンジンを積んだ従来のロールス・ロイスと基本的に変わらない。それは、贅を尽くした内外装に関しても同じこと。「なによりもロールス・ロイスであることを第一に追求した」とミュラー-エトヴェシュCEOは語ったが、まさしくそのとおりの仕上がりだった。

文=大谷達也 写真=ロールス・ロイス



(ENGINE2023年4月号)

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