2023.04.17

CARS

「昨今なかなかお目にかかれない『さりげなく凄いセダン』」 これが「キャデラックCT5」に試乗した自動車評論家の生の声だ!

キャデラックCT5

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乗る度に感心させられる

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メルセデス・ベンツEクラス、BMW5シリーズ、アウディA6などとグローバル市場で販売競争を繰り広げるキャデラックの最新中型サルーンには、乗る度に感心させられる。しかしそれは失礼な話で、アメリカ車=大味という、とっくに拭い去ったつもりの古い感覚をアップデートできていないだけ。いい加減に日欧車≫アメリカ車という思い込みを消し去りたいが、クルマ好きとして多感な20~30代に植え付けられた刷り込みなので上書きするのは簡単ではない。CT5が積む2リッター直4ターボ・エンジンは4気筒としてはトップレベルのスムーズさを誇り、パワーも十分だし、パワーの盛り上がり方も上品で洗練されている。大排気量自然吸気エンジンのような心地よいフィーリングをドライバーに伝えてくる。そのくせ箱根ターンパイクで解き放つとハンドリングも素晴らしい。ドライブ・モードでスポーツを選び、4WDの前後トルク配分を20:80とすると、コーナーの入口でグイグイ曲がってくれるのに、出口で鬼トラクションがかかる。左ハンドルを気にしない人には100%オススメ。(塩見智)

Z世代のアメリカっぽい

いったいキャデラックは今どこに向かっているのだろう。アメリカン・ラグジュアリィのフラッグシップなのに、SUVのエスカレード以外にそう感じさせてくれるモデルがない。ひょっとして私たちの想いの方がもはや時代遅れなのだろうか……なんてことを話しながら読者と共にターンパイクに向かって走らせていると、運転席も助手席も“思った以上によくできていますよね”という感想に。前身のCTSが5シリーズを強く意識して開発されたことを知っている我々専門家はついつい現代のスポーティなキャデラック製サルーンにドイツ・プレミアム勢の幻影を見てしまいがち、なのだけれど、隣席における眺めや乗り心地には十分モダンなアメリカ車らしさを感じてもらえたらしい。それでいて運転席の側から言わせると、ちゃんとドライバーズ・カーになっている。昔の鷹揚さはすっかり影を潜めた代わり、しっかり運転手の操作に応えようとしてくれる。V8 OHVのドロロロロォンこそ昔になりにけりだが、4気筒の快活なパフォーマンスだって捨てがたい。Z世代のアメリカっぽいと言ったら褒めすぎかしら?(西川淳)

写真=郡大二郎/神村聖/茂呂幸正/小林俊樹

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(ENGINE2023年4月号)

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