2023.04.13

CARS

アルピナの味が新車で味わえるのもあとわずか! アルピナのSUVクーペ、XD4のフェイスリフト版に試乗 

アルピナXD4

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アルピナの中で最もコンパクトなSUVとなるXD3とXD4。Mモデルを凌ぐエンジンがもたらす走りはアルピナの世界観に溢れていた。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

22インチのフィンタイプ・ホイールがアルピナらしい!

今やガソリンとディーゼルを合わせて11車種を日本に輸入するアルピナ。その中から、今回試乗したのは多くのインポーターが欠席した2019年の東京モーターショーで初披露され、2年後にマイナーチェンジ、2022年に日本でのデリバリーが開始されたXD4だ。



BMW X3とX4をベースとしたアルピナはガソリン・エンジンを搭載せず、ディーゼルのXD3とXD4のみとなる。同じアルピナのフラッグシップSUVであるX7ベースのXB7は逆にガソリン車だけだ。多くの車種を揃えているように見えて、実はキャラクターに合ったラインナップとなっているところがアルピナらしい。

外観はピエモントレッドという赤系の色がアルピナとしては珍しいが、ゴールドのピン・ストライプとオプション装着された22インチ!のフィンタイプ・ホイールのおかげでアルピナだとわかる。注目はバンパーでMを含めたBMWのX4よりはるかに落ち着いた造形にエアダムを組み合わせている。このあたりもアルピナだと実感する部分だ。



インテリアはステアリングにはブルーとグリーンのステッチ、デジタルメーターにはアルピナの文字、シートにはロゴ・マークが入り、センターコンソールにはシリアル・ナンバー入りのプレートが埋め込まれる。試乗車のカラー・コーディネートはボディに合わせてかブラックレザーにレッドのステッチというものだった。

搭載するのは3.0リッター直列6気筒ディーゼルのクワッドターボ。大径の低圧タービンと可変ジオメトリーの小径高圧タービンを組み合わせた2ステージ・ターボを2組用いることで全域でのスムーズさと力強さをもたらすというものだ。

BMW X4で選べるのは2.0リッター 4気筒ディーゼルと3.0リッター 6気筒ガソリンのターボ(BMW MモデルのX4Mではツインターボ)のみ。格上のエンジンを載せる手法はこのブランドが得意とする部分であるが、4基ものターボを装着するがゆえに右ハンドルは不可能なのだという。



マイナーチェンジでは3.0リッターディーゼルの最高出力が388psから394ps、最大トルクは770Nmから800Nmにアップした。後者についてはX4Mの620Nmをも大きく凌ぐ。しかもそれを1750-3000rpmで発生するので、スタート直後から2120kgのボディを軽々と加速させ、その後はどんなシーンでも右足にわずかに力を込めるだけで、瞬時に圧倒的なダッシュを披露してくれる。

それ以上に印象的だったのは、吹け上がりの気持ち良さ。ディーゼルなのにレブリミットの5000rpmまで回したくなってしまう。サウンドについても、基本的にしっかり遮音をした中で心地よい音成分だけを適度に届けてきてくれる感じで、調律がなされていると感心した。

乗り心地はセダンのアルピナに比べると硬めではあるが、背の高いボディと大径ホイールのコンビを考えれば異例にしっとりしていると言うべきだ。コーナーではまず、ステアリングのリニアな切れ味に感心し、続いて4輪駆動の安定性をベースにしつつ、後輪駆動レイアウトらしさを濃厚に残した身のこなしに頬が緩む。低回転から超大トルクを生み出すエンジンとの組み合わせは痛快そのもの。でもそれが上品な雰囲気の中で展開されるところが、まぎれもないアルピナ・ワールドだった。

アルピナは2025年末でコンプリート・カー事業から撤退し、自らの商標をBMWに譲渡し、クラシックカー関連事業への投資や新しいモビリティの開発に挑戦することを明らかにしている。彼らが構築するエクスクルーシブな世界観を新車で味わえるのは、あとわずかということになったけれど、XD4の走りから伝わってきたのは、最後まで自分たちの仕事をやり遂げようという強い意志だった。

文=森口将之 写真=茂呂幸正



(ENGINE2023年5月号)

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