2023.05.20

CARS

666馬力の2台のランボルギーニ・ウルス、買うならどっちだ? ペルフォルマンテとS、猛牛のスーパーSUVを乗り比べる!!

ランボルギーニ・ウルス、ペルフォルマンテとSを比較試乗!

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2022年に新たに登場したウルスの2台のハイパフォーマンス・モデルにようやく乗る機会を得た。その名もペルフォルマンテとSは、同じ666psの最高出力を誇る4リッターV8ツインターボを搭載しているが、乗ってみると、まるで違う味つけのモデルに仕立てられていた。エンジン編集長のムラカミがリポートする。

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最上級のラグジュアリーSUV

ウルスに乗るのは、昨年7月に「ランボルギーニ・ジーロ・ジャパン2022」に参加して以来だ。その時は他のプレス関係者と試乗車をシェアして、ウラカンEVOのクーペとRWDスパイダー、そしてウルスに乗った。当時はまだウルスにペルフォルマンテやSは出ていなかったのだが、それはともかく、ウラカンもとても乗りやすいクルマではあるとはいえ、むろん紛れもないスーパースポーツカーである。正直なところ、乗りこんだだけでとても緊張するし、フツーに公道をみんなと連なって走っているだけでも極度に疲れる。そんな中、ウルスの順番が回ってきた時のホッと胸を撫で下ろすような安堵感が今も記憶に残っている。



もちろんウルスだって、ランボルギーニ言うところのスーパーSUVであり、そんじょそこらのSUVとは別次元の乗り物であることは重々承知だ。ひとたび右足に力を込めれば、4リッターV8ツインターボが雄叫びを上げて、猛牛に豹変することも分かっている。しかし、フツーに連なって走っている分には、これ以上の極楽はないと思えるくらいにまったりとした気分が味わえる、最上級のラグジュアリーSUVでもあるのだ。

さて、そのウルスにまずペルフォルマンテが追加されたのが昨年8月。それまでの650psの最高出力を16ps増の666psまで引き上げる一方で、ひと目見て分かるカーボン・パーツの多用などにより重量を47kg軽量化するとともに、大胆な空力デザインを取り入れてパフォーマンスを大幅に向上させた新しいベンチマークという触れ込みだった。

さらにその翌9月には、同じ666psのエンジンを搭載するSが発表された。こちらはそれまでのウルスの後を継ぐもので、パフォーマンスとラグジュアリー、汎用性をバランスよく向上させたフェイスリフト・モデルということになる。

両車の機械的な最大の違いは、足まわりにある。いずれも前後マルチリンク式のサスペンションを持ち、それに電気機械式のアクティブ・ロール・スタビライザーと電子制御ダンパーで武装していることは同じだが、スプリングが、Sは従来と同じエアであるのに対して、ペルフォルマンテは一発決めのコイルとなっているのだ。ペルフォルマンテは公開に先立ち、パイクスピークのヒルクライムに挑戦し、市販SUVの新記録を打ち立てたというくらいだから、相当に固められているであろうことは、乗る前から予想できた。

山道では水を得た魚

今回、試乗したペルフォルマンテは、オレンジのボディにボンネットをはじめ至る所にカーボン・パーツを剥き出しにした、見るからにヤル気満々な1台だったが、しかし、その姿から想像するほどには、乗り心地は悪くなかった、と取りあえずは言っておこう。とはいえ、あのまったりとした走りもできる懐の深さを持っていたこれまでのウルスとはまったく違う味つけがなされていた。街中で低速で走っていると、細かな路面の荒れを全部伝えてくるくらいに足が硬い。それは高速道路を走っていても、中速域くらいまでは変らないのだが、さらにその上の速度域に入ってくると、ビシッと路面に張り付いたように安定してきて、まるでスポーツカーに乗っているような感覚で走ることができるのだ。



さらに驚くべきは山道での走りで、コーナリング時にもまったくロールを感じさせないから、それこそスポーツカーと同じ感覚でブレーキを残しながらコーナーに進入しても、2.4tの巨体が顔色ひとつ変えない感じで、アンダーステアを出すこともなくスーッと曲がって行ってしまうのには舌を巻くしかなかった。

ドライブ・モードはストラーダ、スポーツ、コルサ(レース)、ラリーの4種類。スポーツにすると、排気音が一気に高まり、スロットルを閉じた時にはパンパンと激しい音が響きわたるようになる。ダンパーもさらに硬くなっているのだろうが、もともと硬いからどのくらい変化しているのかはわからない。とにかく、山道では水を得た魚のように速い。しかし、街中に戻ってくると、ちょっと持て余すような気分にならないわけではなかった。これはどんなシーンでも力を抜くことなく、常に全身全霊をあげてスポーティな走りをしていないと気が済まない、リッチな大人の走り屋向きの1台だろう。

ブラックのアルカンターラとカーボン・パーツを多用して、レーシーな雰囲気を漂わせるペルフォルマンテのコクピット。

シートは前後ともアルカンターラとレザーのコンビで、アルカンターラを使った座面と背の中央部分には、新しい六角形デザインのシートステッチを施したペルフォルマンテ・トリムが使われている。

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