2023.05.21

CARS

ランボルギーニの至宝、V10は消滅するのか? ウラカンSTOとエヴォRWDスパイダーに乗って、スーパーカー・メーカーの未来を占う!!【後篇】

ランボルギーニ・ウラカンSTOとEVO RWDスパイダー

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新しいフラッグシップ・モデル、レヴエルトの発表会から帰国したジャーナリストの山崎元裕と、エンジン編集部のムラカミ、ウエダの3人がSTOとスパイダー、2台のウラカンに乗って、ランボルギーニの最前線を語り合う座談企画。前回の前篇に続いて今回はその後篇をお送りする。◆前篇から読む場合はコチラから!

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ウラカンは黄金時代の象徴

山崎 そうそう、レヴエルトの発表会の時に、ガヤルドの一番初期のモデルと、ウラカンのテクニカに乗せてもらったの。

上田 いわばV10の最初と最後。

山崎 ガヤルドってもう20年くらい前のクルマだから、すごく古く感じるだろうな、と思ったけど、あれはあれでランボルギーニらしさがある。暴力的というか、荒々しさというか。危うさというか。それはそれですごくいい。これがランボルギーニの味なのかなって思った。それが最後のウラカンになると、圧倒的に乗りやすくて、らしさが薄れたというか、何かに包まれているような気になる。もうウラカンでランボルギーニらしさを引き出すにはドライビング・テクニックや、ふさわしいステージが必要なのかもしれない。



村上 クルマの絶対的な性能レベルというか、パフォーマンスの高さが、全然違うところまでいっちゃったからね。

山崎 乗る前に、ちょっと怖さを感じさせる、そういうところこそ、ランボルギーニなのかな、っていう気がした。

村上 でもガヤルドもそもそも、あの手のスーパースポーツカーとしては乗りやすいクルマだったけどね。振り返って見ると、ガヤルドがアウディR8と一緒に生まれたのはすごく大きなことだった。逆にアウディも、ランボルギーニの存在がなかったら、ミドシップのスポーツカーなんていきなりはつくれなかった。

上田 そうして生まれたガヤルドは延々改良されてウラカンに進化して、また改良を続けてきましたからね。ライバルとして想定されたポルシェ911が4世代くらい費やしているところを2世代だけで。

山崎 ランボルギーニがアウディ傘下になって、もう25年くらいになるのかな。彼らの60年の歴史を振り返っても、こんなに長く安定していたことはなかった。

上田 むしろ常に綱渡りだった。

山崎 ランボルギーニには反骨精神みたいなものが社風としてあって、それは対フェラーリであったり、対ポルシェであったりしたけど、でもずっとお金はなかった。だからこそ経営が安定したのはすごく大きかった。世代でいえば、ガヤルド、ムルシエラゴ以降、はっきりランボルギーニは変わった。ウラカンもコンセプトがずっと貫かれているし、最新技術も次々投入された。



上田 他のスポーツカー・ブランドは紆余曲折しているところがまだまだありますからね。そんな中、ランボルギーニはひたすら自らを研いできた。ウラカンは、いわばランボルギーニ黄金時代の象徴かもしれない。

山崎 カーボンの技術もすごく大きな投資ができたし、ランボルギーニ自体も本質はまったくブレなかった。それはレヴエルトにも見事に繋がっている。きっとレヴエルトもまた圧倒的に乗りやすくなっているんだろうけど、やっぱり乗る前に、どこか怖さを感じさせるところがある。

上田 そうなんですよ、ガヤルド→ウラカンの流れと、カウンタック→ディアブロ→アヴェンタドール→レヴエルトの流れでは、熟成の度合いが違うというか、方向性が違いますよね。そういう意味ではV10モデルの方が変化の度合いが大きかった気がする。

村上 だって、やはりランボルギーニには、変わることのない、これ見よがしな、これぞスーパーカーっていうところもないと。

一同 笑。

村上 ランボルギーニのV12モデルには、荒々しさ、猛牛のエンブレムに象徴される反逆的なところだとか、そういう本質的なところが、見た目にも乗った感じにもすごく出ていなくちゃいけないし、誰もがそれを求めている。いっぽうV10モデルにはスーパーカーとしての要素だけじゃなく、スポーツカーとしての要素を求める人も多い。

上田 確かにガヤルドはスーパーカーというより、スーパースポーツカーっていう言葉が似合いますね。それにしても、このV10も最後ですか。自然吸気マルチシリンダー・エンジンがまた1つ消えていく……。

山崎 ハイリフト・スーパースポーツとでもいうべきウラカン・ステラートがいちおう残っているけどね。ステラートが今のウラカンの最後、とアナウンスはしている。

上田 しかも純内燃エンジンのランボルギーニのスポーツカー、という意味でも、現行ウラカンは最後かもしれないですね。

村上 V10の次がV8になるか、V6になるかはヴィンケルマン氏は口を濁していたけど……。

上田 フェラーリ296GTBとマクラーレン・アルトゥーラは共にV8からV6+モーターのハイブリッドに切り替わりましたけどね。

山崎 そこでアドバンテージを取ることを考えると、やはりランボルギーニはV8+モーターになるんじゃないかな。

村上 今は過渡期で、ハイブリッドといっても色々な仕立て方があるよね。フェラーリは割とエンジンとモーターを一体化させて両方を動かす感じだし、マクラーレンはまるで別ものと考えているみたいだった。はたしてランボルギーニはどういうアプローチをしてくるのか、いやはや、楽しみだなぁ。

話す人=山崎元裕+村上 政(ENGINE編集長)+上田純一郎(ENGINE編集部、まとめも) 写真=郡 大二郎



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■ランボルギーニ・ウラカンSTO
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4547×1945×1220mm
ホイールベース 2620mm
車両乾燥重量 1339kg
エンジン形式 水冷V型10気筒DOHC
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
排気量 5204cc
最高出力 640kW/8000rpm
最大トルク 565Nm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
(後) ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前後) カーボンセラミック通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/30R20/305/30R20
車両本体価格(税込) 4125万円

■ウラカン・エヴォRWDスパイダー
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4520×1933×1180mm
ホイールベース 2620mm
車両乾燥重量 1542kg
エンジン形式 水冷V型10気筒DOHC
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
排気量 5204cc
最高出力 449kW/8000rpm
最大トルク 560Nm/6500rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前後) カーボンセラミック通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/30R20/305/30R20
車両本体価格(税込) 2919万3598円

(ENGINE2023年6月号)

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