2023.06.24

CARS

モーターショー取材でこれほどワクワクしたのは久しぶり! 上海国際モーターショーで目の当たりにした中国メーカーの勢い 日本の自動車産業は世界で闘えるのか?

トヨタはbZ Sport Crossover Concept、bZFlexSpace Conceptの2台のBEVコンセプトカーを発表。

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4年ぶりとなる上海国際モーターショーが今年4月に開かれた。熱気に包まれた会場を訪れた自動車ジャーナリスト、島下泰久氏が痛感した時代の流れの変化とは?

6年前にも感じたが……


今年の上海国際モーターショーはアツかった。ポルシェ新型カイエン、メルセデス マイバッハEQS SUVなど、欧州メーカーのワールドプレミアも目をひいたが、何より中国国内メーカーの勢いに、完全に圧倒されてしまったというのが現地を訪れての実感である。

もっとも、中国メーカーの怒涛の成長ぶりは実際には今に始まった話ではなく、私が前回訪れた2017年にも大いに感じられていた。正しくは、コロナ禍もありしばらく生でそれを体感できないでいるうちに、彼らの成長カーブは更に角度を増していたというわけだ。



特に目立っていたのがNEV(新エネルギー車)として括られるBEVやPHEVを主力とする新興メーカーのニューモデル達である。いずれもデザインはまるで宇宙船のように先進的。ガルウイングドアも珍しくなく、室内では見た目も操作性も最先端のインフォテインメント・システムが迎えてくれる。


しかも、それらは実際の使い勝手もきわめて洗練されていて、ハリボテ感もオモチャっぽさも、もはや皆無。どのモデルも、つい貪るようチェックしてしまった。正直、モーターショー取材でこれほどワクワクしたのは久しぶりである。



先を行かれたのは日本のメーカーだけではない

これは単に中国はBEVシフトが進んでいるというような話ではない。問題はパワートレイン云々ではなくスピード感、チャレンジ精神、そしてセンスといったものだろう。正直、圧倒されたのはまさにこの部分にであり、彼らとしても今回、大いに自信を漲らせたに違いない。


「中国は特別だ」として済ませることも、もはや難しい。電動化、知能化によりクルマが快適な移動空間としての位置づけを強めていくのは世の流れである。日本だけでなくドイツのメーカーも、気づけば先を行かれてしまった。そう今、痛感しているはずだ。

あるいは80年代のアメリカやヨーロッパは、日本メーカーの勃興をこんな思いで見ていたのだろうか。打ちのめされている場合ではない。この先、日本の自動車産業は中国のみならず世界でどのように戦っていくべきか、早急に再考する必要がある。そう感じさせた、今年の上海国際モーターショーだったのである。





文・写真=島下泰久

(ENGINE2023年7月号)

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