2023.07.02

CARS

こんなにカッコいいのに日本では販売されず 2代目トヨタC-HRが欧州で発表

トヨタはベルギーのブリュッセルで2代目「C-HR」のワールドプレミアを行った。

7年ぶりのフルモデルチェンジ

Cセグメント・サイズのSUVクーペであるC-HR。初代は2016年デビューなので、7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。日本以上にSUV需要が高い欧州の中でも激戦区のCセグメントSUV市場で好調な販売を維持するC-HRの2代目は欧州専売モデルとして開発された。生産も欧州で行われる。



先代同様、SUV版プリウス風

デザインは周囲になじむのではなく、際立つことを目指したという。フロントまわりには新型プリウス似の「ハンマーヘッド」と呼ばれるモチーフを導入。ブラックのパネルを織りまぜた構成はクラウン・クロスオーバーにも見られる手法だ。一方、左右が盛り上がったボンネットや大きく張り出したフェンダーの処理は初代に通じる。

フェンダーに対して絞り込まれたキャビンやキックアップしたウインドウ後端、存在感の強いCピラーなどに、ボディ・サイドのデザインからも初代からの流れを感じる。しかし、リアドア・ハンドルをピラー内に存在を隠すように配されたヒドゥン(Hidden)タイプにして2ドア風に見せる処理は新型では行われず、ドア4枚ともフラッシュサーフェスのハンドルが取り付けられている。



前後半の2トーンを採用

サイド・シルとCピラーの後半以降のリア部分に、かつての初代スマートを思わせるようなブラック仕上げを採用。テールライトの両側がスポイラー的に突き出した造型は初代C-HRや現行ヤリスを彷彿させる。ルーフ・スポイラーはbZ4Xのような左右分割タイプで、リア・ウインドウはかなり寝かせれている。タイヤは20インチも設定されている。

このスタイリングは2022年末に公開された「C-HRプロローグ」のイメージを色濃く残しているが、そのコンセプト・モデルを含めて既視感がある。それは2021年末に今はなきメガウェブで開催された「バッテリEV戦略に関する説明会」で、トヨタは16台の電気自動車のプロトタイプを公開したが、その中の「スモールSUEV」と銘打たれた1台が新型C-HRに酷似しているからだ。

運転席前に12.3インチの液晶メーター、センターに8.0インチもしくは12.3インチのインフォテインメント用の画面を配したインパネはカローラやヤリスの進化形といった比較的オーソドックスなデザイン。ダッシュボードから連なるドア・トリムのラインには最大で64色から選べるアンビエント・ライトが組み込まれ、ドアを開ける際に後方から接近する車両や自転車などを検知して乗員へ警告する機能なども盛り込まれている。



PHEVを新設定

パワートレインは2.0リッターのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)と、1.8リッターと2.0リッターのハイブリッド(HEV)という陣容で。2.0リッターHEVにはリア・モーターを追加した4WDも設定される。

1.8リッターHEVはカローラ系と同じユニットで、先代よりパワフルで経済性にも優れる。さらに力強い走りを求めるなら2.0リッターが選択できるというラインナップだ。

PHEVはよりEVに近い走りや使い勝手を提供するモデル。日常使いは電動、長距離移動はハイブリッドで効率的に運用し、回生ブレーキを用いたワンペダル的なドライビングにも対応する。また、目的地付近に低エミッション・ゾーンがある場合はそこまで電力消費を節約し、ゾーンに入る際にEVモードへ自動切り替えする機能も備えるのがいかにも欧州専売モデルらしい。



日本市場にも是非検討を

公道を走るコンセプト・カーを目指したエクステリアと、比較的オーソドックスなインテリア、高効率パワートレインで再び、激戦のマーケットでの成功を狙う新型C-HR。欧州では発表と同時に、発売記念モデルの「GRスポーツ・プレミアエディション」と「ハイ・プレミアエディション」の予約受注が始まっている。

欧州専用モデルというが、反響次第では日本導入の可能性があるのか。一世を風靡したモデルだけに今後の動向に注目したい。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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