2023.07.06

LIFESTYLE

『ゴッドファーザー』の巨匠コッポラがつくるワインの味とは? ファンを唸らす映画づくりを支えるのはワイン・ビジネス

新作『Megalopolis』を準備中のコッポラ監督

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自身の名前を冠したワイナリーを所有するフランシス・フォード・コッポラ監督。その醸造責任者が来日し、巨匠の映画とワインづくりの関係について語った。

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自邸の地下室でワインづくり

映画史にその名を残す偉大なるフィルム・メーカー、フランシス・フォード・コッポラ。さほど熱心な映画ファンでなくとも『ゴッドファーザー』3部作や『地獄の黙示録』といった名作の数々に胸を震わせた人は多いことだろう。そんなコッポラには映画以外にもうひとつ、情熱を燃やすものがある。ワインづくりである。

「フランシスがカリフォルニアのソノマ・カウンティに、フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーをオープンしたのは2010年のことです。ここでは普段飲みができるデイリー・ワインから、ちょっと贅沢なプレミアム・ワインまで、幅広いラインナップのワインづくりが行われています。ワイナリーは来場者が一日中、楽しめるリゾート地でもあり、レストランやプール、さらには彼の映画に使われたたくさんの小物を展示したギャラリーも併設しています」

こう話すのはフランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーのチーフ・ワイン・メーカー、コーリー・ベックさん。この5月、ワイナリー内にあるレストラン『RUSTIC』のシェフであるティム・ボーデルさんと来日し、都内で試飲会を行ったのである。



イタリア系移民のルーツを持つコッポラとワインの出合いは、幼少時にまでさかのぼる。ニューヨークにあった自邸の地下室で、コッポラの祖父がワインを造っており、その姿を物心ついた時から目の当たりにしてきたのである。もっともコッポラ家のワイン造りは、あくまで家族で楽しむためのものだったが、状況が変わったのは1970年代。72年の『ゴッドファーザー』、74年の『ゴッドファーザーPART II』で映画監督としての揺るぎない地位を築いた彼は、経営難に陥っていたカリフォルニア、ナパ・バレーの名門ワイナリー、イングルヌックの邸宅と土地の一部を購入。本格的なワイン・ビジネスに乗り出し、イングルヌックの経営を見事、立て直すことに成功したのである。

新作『Megalopolis』を製作するために

「私もイングルヌックの時代からフランシスのもとでワイン造りを続けてきましたが、今でも醸造に関しては我々、専門家にすべてを任せてくれています。フランシスが直接、担当しているのは、ワインのコンセプトやラベルのデザイン。それぞれのワインに彼と家族に関する物語や、こだわりが込められているんです」

ワイナリー内にはコッポラの映画に使われた小物を展示するギャラリーも。写真は1988年の映画『タッカー』に登場したクルマ。

たとえば、その年の最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンで造られた『アルキメデス』。アルキメデスは、コッポラの祖父が敬愛した古代ギリシャの偉人の名前であるだけでなく、伯父の名前でもある。一方、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンなどをブレンドした『エレノア』は、コッポラを公私にわたり支え続けてきた愛妻、エレノアに捧げた赤ワイン。エレガントな花模様のラベルは、エレノア夫人のデザインによるものだ。そして映画のフィルムを巻き付けたかのような、ユニークなラベルは『ディレクターズ・カット』と命名されたシリーズ。回転させた円筒形の装置の隙間から中を覗くと、静止画があたかも動いているかのように見える遊具、ゾエトロープからインスパイアされたデザインだ。ゾエトロープといえば、若き日のコッポラがジョージ・ルーカスと共に立ち上げた映画製作会社、アメリカン・ゾエトロープの名前を思い起こす映画ファンもいることだろう。



コッポラのワインは価格もリーズナブルで、高価格帯にあたる『アルキメデス』でも1万5000円程度、デイリー・ワインのシリーズである『ロッソ&ビアンコ』にいたっては2000円台で購入することができる。その理由は、コッポラの家族がつくってきたのが高級ワインではなく、毎晩の食卓で楽しめる手ごろなワインだったからで、その精神をいまだ引き継いでいるからなのだという。

今年で84歳となったコッポラ。創作意欲はまだまだ旺盛で、現在は『Megalopolis』という新作の準備に取り掛かっている。ニューヨークの街を、一大ユートピアに作り替えようとする建築家を主人公とした大作だそうで、この作品の製作費1億2000万ドルを捻出するために、ワイン・ビジネスの一部を売却した。

かつて経営難に陥った名門ワイナリーに私財を投じ、復活させたコッポラ。今度は、このワイン・ビジネスが、彼の映画づくりを助けることになった。まさにコッポラにとって映画とワインは、人生における欠かせない両輪のような存在なのだろう。

■フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーの問い合わせ=エノテカ株式会社 フリーダイヤル 0120-81-3634



文=永野正雄(ENGINE 編集部)
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