2023.06.06

LIFESTYLE

ミシュランの星付きレストランや老舗料亭、有名パティシエが愛用する注目の日本茶とは? 品種や畑の特徴を楽しめるシングル・オリジンの日本茶が増加中!

2017年に創業したシングル・オリジン煎茶専門店、煎茶堂東京

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日本茶の原料であるお茶の木は、品種や風土によって異なる味わいがある。そんな違いを楽しめるシングル・オリジンの日本茶が増えてきた。

日本茶の風味の画一化が問題に

日本茶は多くの人が毎日のように飲んでいるにもかかわらず、味の好みが話題にされることはあまりない。コーヒーには「エチオピア産ゲイシャ種」、紅茶には「インド××農園のダージリン ファーストフラッシュ」のような花形商品があるが、日本茶にはそういったものが存在しないためだろうか。そもそも日本茶と紅茶と中国茶がすべて同じツバキ科の茶の木(チャノキ)からつくられていることや、茶の木にさまざまな品種があることもあまり知られていないが、唯一高い知名度を誇るのが明治時代に生まれた「やぶきた」だ。「やぶきた」は栽培しやすいため1960年代に急速に普及し、現在は全国の栽培面積の75%を占めるほどになっている。一方で問題になっているのが、お茶の風味の画一化と、かつて殖やされた木の老齢化。そのため日本茶界では、やぶきた種への偏重を改め、老齢化した木を優良品種に転換する動きが生まれている。これと同時に台頭してきたのが、単一品種や単一畑の茶葉、いわゆるシングル・オリジンの日本茶だ。



自分好みのブレンドに挑戦

シングル・オリジンの日本茶の良さは、さまざまな品種の味わいや、畑の「テロワール」を楽しめること。約60種類のシングル・オリジン煎茶を扱う専門店「煎茶堂東京」のオンラインショップでは茶葉の産地や栽培方法、品種、淹れ方が紹介されており、それらの情報を読み込みながら味わうと、代表の青柳智士氏が言う通り「今までに感じたことのない香りや奥深い味わい」に気づくことができる。

京都で100年以上続く「出島園」は、ミシュランの星付きレストランや老舗料亭、有名パティシエが愛用するシングル・オリジンの抹茶ブランド。原料は全て自社農園産だ。「大小18カ所の茶園はそれぞれに陽当たりや土質が異なるため、ワインのように毎年品質が変わります。年によって異なる味わいや、自分好みの味を探していただきたいという思いでシングル・オリジンにこだわっております」と語るのは、代表の出島義裕氏。おすすめの3種を飲み比べると、「さみどり/奏」はまろやかで、「うじひかり」は爽やかかつ華やかな印象。「ざいらい百年樹」は何とも言えない穏やかな趣がある。出島氏によると、シングル・オリジンの抹茶はブレンドして楽しむのもおすすめとのこと。品種ごとの魅力を味わった後は、自分好みのブレンドにも挑戦したい。

文=小松めぐみ(フード・ライター)写真=田村浩章

(ENGINE2023年6月号)

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