2023.07.16

CARS

カングー包囲網の第3弾! フィアット・ドブロが400万円を切る戦略的値付けで登場 商用車テイスト満載の「遊べる」クルマ!!

カングー包囲網の第3弾! はたらくフィット、ドブロが上陸!

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ルノー・カングーが火付け役となった欧州製小型MPV市場に、イタリアから新たな刺客、フィアット・ドブロが参入。兄弟車のリフターやベルランゴとの違いを含め、モータージャーナリストの森口将之が試乗して解説する。

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はたらくフィアット

日本に正規輸入されるフィアットとしては、あのムルティプラ以来となるMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル=多目的車)のドブロが上陸した。写真を見てお分かりかもしれないが、同じステランティス・グループのプジョー・リフターおよびシトロエン・ベルランゴの兄弟車である。



フィアットとプジョー/シトロエンの協業は、ステランティス結成以前からあった。少し前に本誌でも紹介した大型商用バンのフィアット・プロフェッショナル・デュカトのプジョー版やシトロエン版が欧州では初代の頃から用意されていた。

ただしドブロに関しては、初代と2代目はフィアット独自の設計で、3代目となる現行型で初めて、フランス勢との共通化が図られた。

欧州はもちろん、日本でもプジョーやシトロエンとフィアットの販売ネットワークは別々なので、現状でも好評なこのMPVをさらに拡販したいという思いがあるのかもしれないけれど、実車を前にするとそれ以外の理由もあると感じた。



スタイリングは、サイドやリアはベルランゴとほぼ同じだが、フロント・マスクはプジョーやシトロエンよりあっさりしている。リアだけでなくフロントもブラックになるバンパーが、その印象を強調する。

レジャー・シーンがまず頭に浮かぶフランス生まれの2台に対して、運搬や送迎というワークユースを連想する。欧州でも日本でもこの3兄弟のライバルになるルノー・カングーでいえば、ブラック・バンパーのクレアティフの対抗馬が、このドブロになりそうだ。



それに「はたらくフィアット」としては、すでにデュカトが日本の地を踏んでいるわけで、弟分としてのイメージも湧く。いずれにせよ、フランス生まれの2車種より、素材感を前面に押し出したキャラクターに映った。

標準ボディを持つ2列シート5人乗りと全長とホイールベースを延ばしたロング・ボディの3列シート7人乗りが用意されることも、リフターやベルランゴと同じ。車名は今回乗った前者がドブロ、後者がドブロ・マキシと呼ばれる。





1.5リッター直列4気筒ディーゼル・ターボの最高出力や最大トルク、8段ATのギア比も2台のフランス車と共通。SUVテイストのリフターはタイヤが大径で太く、車高もやや高めになるが、ベルランゴとは同じサイズだ。

身のこなしが軽い

エクステリア同様、すっきり仕立てのキャビンに乗り込んで走り始めると、たしかに加速感についてはほとんど同じ印象だった。でも乗り心地とハンドリングについては、記憶の中にあるベルランゴと差があるように感じた。

ゆったりした揺れがシトロエンらしいベルランゴと比べると、路面の感触を伝えながら走る感じであり、背の高さを意識しない軽快な身のこなしが印象的だった。



欧州で販売されるドブロの乗用車版は当初から電気自動車だけで、エンジン車を選ぶのであれば商用車版になる。ベルランゴとリフターも現在はそうだが、少し前までは乗用車版でもエンジン車が選べた。

そんな生い立ちの違いがシャシーの差になっているのかもしれないし、試乗車の走行距離が短いためかもしれないし、すっきりしたデザインがそういう気持ちにさせている可能性もある。

ディーゼル・エンジンの乗用車版ドブロは、世界的にも希少な仕様のようで、本国のニュースリリースにも記述はない。なのでシャシーがどうなのか、断定はできないけれど、見た目や乗り味から受ける印象どおり、ツールとして使い倒すのが似合いそうな気がした。今のフィアットのラインナップでいえば、500よりパンダに近い。

標準ボディでは400万円を切る、このカテゴリーの輸入車では割安な価格も、そういう使い方の後押しになってくれるだろう。

文=森口将之 写真=宮門秀行



■フィアット・ドブロ 

駆動方式 横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4405×1850×1800mm
ホイールベース 2785mm
トレッド(前/後) 1555/1570mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1560kg(前930kg/後630kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴ディーゼル・ターボ
総排気量 1498cc
ボア×ストローク 75.0×84.8mm
エンジン最高出力 130ps/3750rpm
エンジン最大トルク 300Nm/1750rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 205/60R16 92H
車両価格 399万円

(ENGINE2023年8月号)

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