2023.08.09

LIFESTYLE

完売が続く人気ぶり! バッグや文庫カバーとして蘇った映画館のスクリーン

A4サイズの冊子がおさまるトートバッグ

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使用されなくなった映画館のスクリーンをバッグや文庫カバーに仕立てた「SCRE:EN」なる商品が登場。劇場でもオンライン販売でも完売が続く人気ぶりである。

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8年を目途に交換


映画の誕生はリュミエール兄弟がパリのカフェで「工場の出口」などを上映した1895年12月28日の夜とされている。それからおよそ130年、映画の歴史は常に技術の刷新と軌を一にしてきた。フィルムは無声から音声トラックが付与され、可燃性のナイトレートから不燃性のアセテートに進化。サイズもスタンダード、ヴィスタ、シネマスコープ、70mmとバリエーションが生まれ、画角の変化が演出スタイルにも影響を及ぼしてきた。近年では急速に進むデジタルへの移行が、上映と興行の形態を変えつつある。



一方でほとんど変わらないものも存在する。たとえばスクリーン。DVDでの再生やネット配信とは異なり、映画館では光源からの映写が欠かせない。最初は木綿の白布、次に銀と白の塩化ビニールと素材の進化はあったが、大きな幕の基本的な仕組みはほとんど同じだ。

フィクションを描き出すキャンバスといえど、劣化は避けられない。汚れが落ちにくくなる8年程度を目途に交換されるという。基本的に映画館の構造に合わせたオーダーメイドのため、再利用されることはなく、産業廃棄物となるのが常だった。そんななか、映画興行を営む東京テアトル株式会社がスクリーンのアップサイクルをスタートさせ、注目を集めている。



歴史を刻むオンリーワン

先に書いたようにスクリーンの大部分は塩化ビニールでつくられており、撥水性や耐火性、耐久性に富んでいる。こういった特性と素材感を活かし、裁断と縫製で日常使いの小物へとコンバートさせた。アイテムはトートバッグ、ポーチ、文庫用のブックカバーで、それぞれ白と銀の2色をラインナップ。ポップで未来的なデザインが人気を呼び、オンラインストアでは予想以上のオーダーで欠品が相次ぐ。同社系列の映画館でも売れ行きは好調だ。

興味深いのは、軽度の汚れは洗浄するものの、ついていた傷やシワをあえてそのまま残していること。もしかしたら、手に入れたアイテムは好きな映画が映し出されていたスクリーンの一部かも知れない。そんな美しい錯覚も許されそうな“リバイバル”に喝采を送りたい。

文=酒向充英(KATANA) 写真=藤田由香

(ENGINE2023年8月号)

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