2023.07.29

CARS

【後篇】日産フェアレディZで九州を味わい尽くす旅 ワインディングと温泉とグランピングでココロとカラダを整え直す! 

シークルーズグランピング熊本天草はホテル並みの快適性を持つドーム型テントに、バス・トイレが完備したコテージに、バーベキューができるテラスなど至れり尽くせりだ。

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カラダとココロの両面をバランスよくリフレッシュさせるため、日産フェアレディZとともに、九州を駆け巡るクルマ旅。前篇に続く後篇、3500kmに及ぶ長い旅はいよいよ佳境へ。

お殿様気分
 
翌朝、次の目的地である阿蘇山を目指す。お待ちかねのワインディング路を楽しむ時間だ。快適なセダンでも、見晴らしのいいSUVでもなく、あえてスポーツカーのフェアレディZ、しかも6段MTを旅の相棒に選んだのはこのためだった。もちろん長い高速道路での移動があったため、GTカーとしての性能を兼ね備えていることも理由のひとつだ。



雄大な景色を時折眺めつつ、低速から高速まで様々なコーナーを持つ阿蘇の山道をZで駆け巡る。3.0リッターV6ツインターボは405psという公道ではとても使いきれないほどの高出力を有するが、安定感のあるシャシーのおかげで不安は一切感じない。阿蘇山周辺を抜け、海岸線を楽しんでいると、あっという間に2日目の宿がある天草に到着。荷物を置く前に、まずは天草の目玉であるイルカ・クルージングへと出掛ける。

素潜りの漁師が岩の間などに手を入れて漁をするのをまね、同じ様に鼻を突っ込むため、鼻先が削れて白いのがこのあたりのイルカの特徴だという。


イルカが見られるのは早崎海峡周辺で、生息しているのはミナミハンドウイルカ。普通、イルカは回遊するのだが、エサが豊富で天敵である大型のサメも少ないため、彼らは古くからこの海域で自然に定住しているという。98%の確率で遭遇できるのはそれが理由だ。てっきり観光のために餌付けしているのかと思ったら、生態系が乱れるからそのようなことは一切やっていないという。元々の性格か、それとも人間が危害を加えないのを学習しているのか、船が近づいてもまったく逃げる気配はない。むしろ様子をうかがいに来ているようにさえ見える。



バーベキュー・プランでは国産の牛と豚、車海老などの焼き物のほか、アヒージョやブイヤベースも提供される。

往復2時間あまりのクルージングを楽しんだあとは、おまちかねのグランピングだ。キャンプには興味があるものの、キャンプの知識も道具もなく、その上自炊が苦手という私にとって、グランピングはとても気になる存在で、機会があれば利用してみたいとずっと考えていた。しかも、ここシークルーズグランピング熊本天草はホテル並みの快適性を持つドーム型テントに、バス・トイレが完備したコテージに、バーベキューができるテラスなど至れり尽くせり。食事を頼んでおけば、手ぶらで殿様キャンプが味わえる、まさに夢のような施設なのだ。そしてそのとおり、美味しいバーベキューを楽しみつつ、夢のような一夜が過ぎて行った。

病みつきになりそう

3日目。海沿いの道を走りつつ、鹿児島に入る。市内を過ぎれば待ちに待った指宿スカイラインの登場だ。

私がここを気に入っている理由は東名高速道路の東京-厚木間に匹敵するほどの長い距離もさることながら、リズミカルな中速コーナーが続くところ。速度、身体に感じる前後及び左右G、ステアリングの操作量、シフト・チェンジの回数など、すべてが適量で気持ちよく走れるのだ。常に林の中を駆け抜けている感じで風光明媚ではないところも運転に集中できていい。開聞岳が見えてきたら、いよいよ終着地の休暇村指宿に到着だ。

緑が生い茂る林の中を縫うように道が続く指宿スカイライン。


実は指宿でやりたいことがもう1つあった。砂むし温泉だ。砂の重みが心地いいのか、それとも暖かさとの相乗効果なのか、砂の中にいるととても落ち着いた気分になる。温泉やサウナとは違う居心地の良さを感じる。極上の薪サウナも捨てがたいが、個人的には砂むし温泉が好み。そういえば小さい頃、1枚でさえ重い綿の布団を何枚も重ねて潜っていたことを思い出した。昔からこういうのが好きだったのかもしれない(笑)。

鹿児島の黒牛と黒豚の夕食で舌とお腹を整えた翌日はいよいよこの旅最後の思い出となるシーカヤックだ。

休暇村指宿ではシーカヤックやシュノーケリングといった体験型のアクティビティを用意。


インストラクターから簡単なレクチャーを受けたのち、さっそく海原へ。最初は怖かった小さな揺れにも慣れ、すぐに操縦や景色を楽しめるようになった。海面を滑るように進む感触は自転車以上にスムーズで気持ちがいい。面白いのは海の見え方が泳いでいるときとも、また船に乗っているときとも違うこと。天候も良く波も穏やかだったことが大きいと思うが、海とひとつになったような連帯感みたいなものを感じた。シーカヤックにはクルマとも自転車ともジョギングとも、そして散歩とも違う独特の魅力がある。これはちょっと病みつきになりそうだ。

休暇村指宿には砂むし温泉のほか、露天風呂を含む掛け流し天然温泉が備わる。


サウナと砂むし温泉でカラダを整え、ワインディング路やシーカヤック、イルカ・クルーズ、焚火でココロを整えた今回の旅。おかげでびっしりとこびりついた日頃の垢をすべて落とすことができた。こんなさっぱりした気分になったのはいつ以来だろう。

さてと、そろそろ休暇村指宿のかけ流し天然温泉でひと風呂浴びて、東京へ戻ることにするか。ちなみに指宿から東京までは約1400km。Zとならいい旅になりそうだ。優れたGTカーにしておいてよかった。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎



■日産フェアレディZバージョンST
駆動方式 縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4380×1845×1315mm
ホイールベース 2550mm
トレッド(前/後) 1555/1565mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1590kg(前900kg/後690kg)
エンジン形式 V型6気筒DOHC24V直噴ターボ
総排気量 2997cc
ボア×ストローク 86.0×86.0mm
エンジン最高出力 405ps/6400rpm
エンジン最大トルク 475Nm/1600-5600rpm
変速機 6段MT
サスペンション形式 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 255/40R19 96W/275/35R19 96W
車両価格 646万2500円

(ENGINE2023年8月号)

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