2023.09.02

LIFESTYLE

家の主役は家族でキャンプができる庭!? 幅はたったの3.1メートル、2500平米の敷地に建つ玄関も無い一直線の別荘!!

長さ45mを超えるコンクリートの家

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、外房の海と川を望む長さ45mを超えるコンクリートの家。都内在住のSさんの別荘だが、もともとは個性的な建物を建築家と作ってみたいという思いから生まれたものだという。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

要塞のような武骨な外観


外房の豊かな自然が残る川沿いに建つ、長さ45mを超える細長いコンクリートの構造物。武骨な外観は、護岸のためのか要塞のようだが、こちらは会社員のSさん(47歳)一家の別荘である。

Sさんは多趣味な人だ。好きなものは、クルマにゲーム、キャンプに音楽……。美味しいものも好きで、自ら料理もするうえ、インテリアにも関心が高い。しかも相当な拘りの持ち主。出来合いのものでは飽き足りず、持ち物を自分仕様にカスタマイズすることも楽しみにしている。

普段は都内のマンションで、家族4人で暮らすSさん。築35年を超える年季の入った建物だが、この部屋も自分好みにリノベーションを行った。DIY系男子が好みそうな、オープンキッチンの周りには、凝った調理道具が並んでいる。一角をガラスで囲った書斎のある大きなリビング・ダイニングには、インダストリアルな家具が配置されており、複数のライフスタイル誌で紹介されたそうだ。





面白い建物をつくりたい

 
自分が手を入れた部屋がメディアで評価され、「内装だけでは満足できず、今度は建築そのものを個性的にしたい」と考えるようになったSさん。そこでネットで建築家を検索し、斬新な建物として知られる河口湖畔の郷土料理店、「ほうとう不動」を設計した保坂猛さんに行きつく。彼に依頼すれば、「面白い建築ができるのでは」、と。

最初は都内に自邸を建てる準備をしていたが、そうこうしているうちにコロナ禍に。その頃は、上の子供をユーノス・ロードスター(1995年製)に乗せて、キャンプに出掛けていた時期である。自然の中とはいえ、隣のテントが近いのが気になり、都内に家を建てることを変更し、まずは自分たち専用のキャンプ場、つまり別荘を作ることにした。



2500平米を超えるこの敷地も、ネットで探したもの。Sさんにとって、それまで一度も訪れたこともないエリアだったが、東京からクルマであれば、2時間でアクセスできるうえ、環境が申し分ない。早速手に入れ、保坂さんに別荘の設計を依頼した。建築家は、この地の豊かな自然と、時折吹く強い風、そしてSさんのライフスタイルを考慮。敷地の北端に細長いコンクリートの建物を配し、できるだけ広くとった芝生の庭にテントを張ってキャンプを楽しむプランを作り上げた。外観の意匠も住宅というより、豊かで厳しい自然と共存する、逞しく力強い印象を与える個性あるものとなっている。


建物は平屋で、幅は3.1mしかない一直線のもの。間取りはアプローチから奥に向かって、車庫、土間キッチン、畳敷きのリビング、洗面・トイレ、そして寝室と続く。土間キッチンにはSさんが拘ったイタリア製のクッキング・ストーブが置かれ、天気の良い日は芝生の庭に折り畳み式のダイニングセットを出して、食事を楽しむ塩梅だ。リビングのオーディオを大音量で鳴らすと、ちょうど良い雰囲気で庭に響く。大きなガラス窓がある開放的な風呂は、コンクリートの母屋とは別の棟として庭に建てられた。並んだサウナは、友人たちの強い勧めで設置したもの。このサウナ周辺に奥様の希望で作られたビオトープ(水庭)は、武骨な建物と対照的で、お互いの個性を引き立て合っている。





川や海に近い水辺の建物だが、その光景はリビングからは大人が立ってようやく見える程度。素晴らしい眺望を楽しむため、屋上が用意された。また、庭にテントを張れば、大人数が泊まることができる。別荘ではあるが、玄関すらないシンプルな建物は、手軽にキャンプを楽しむための施設といった面持ちだ。

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