2023.08.23

CARS

今度こそ打倒ポルシェ911 メルセデスAMG GTが新型SLの技術を活用しつつ、2代目に進化

メルセデスAMGオリジナルの2ドア・スポーツ・クーペ、「GT」がフルモデルチェンジを行い、2代目へと進化を遂げた。

多くの部分をSLの共有

新型での大きなポイントは現行型からAMG専用モデルとなった「SL」とシャシーをはじめ、多くの機能部品を共有することだ。



エクステリアはGTらしさを踏襲

ボディ・サイズは全長×全幅×全高4728×1984×1354mm。先代と比べると全長が183mm、全幅が44mm、全高が64mm拡大。現行SLと比べると全幅は70mm近く拡大しているものの、全長と全高は近い数値になっている。なお、ホイールベースはSLと同じ2700mmだ。

エクステリアはSLとの共通性は薄く、先代のGTのイメージを色濃く残している。パナメリカーナ・グリルを持つフロント開口部は上部に水平ルーバー、下部に垂直スラットを内蔵。速度に応じて開閉することで、空力や冷却を最適化。また、床下のエンジン前方にも、約40mm下降するカーボンの空力パーツが備わる。

リアエンドは、ランクリッドに組み込まれた可変スポイラーを装備。オプションのエアロダイナミックパッケージを選択すると、固定式リア・ウイングと大型ディフューザー、前後バンパーやフロントフェンダーのフリックと呼ばれるプレートが追加される。



オプションで4シーターに

インテリアはSLに酷似したデザインを採用。シートはヘッドレスト一体型で、バックレストに通気用の開口を設けたAMGパフォーマンス・シートや、スポーツ以上の走行モード選択時にサイド・サポートの幅が自動で狭まるマルチコンツアー機能がオプション設定される。

さらに新型GTのトピックとなるのがオプションで用意されるリア・シート。SLとの共通性が大きく感じられる部分のひとつと言えるだろう。SL同様、乗員は身長150cmまでに制限される。後席シートバックは可倒式で、荷室容量は321リッターから675リッターまで拡大可能だ。



複合素材を用いたボディ&シャシー

ボディはアルミ製スペースフレームをベースにスチール、マグネシウムにFRPを組み合わせ、軽量化と高剛性化を両立するとともに、居住性や積載性、安全装備の搭載に必要なスペースの確保も図った。車両重量は1970kgだ。

エンジンは2種類の4.0リッターV8ツインターボが用意される。「GT55」は476ps/700Nmで、「GT63」が585ps/800Nm仕様を積む。トランスミッションはAMGが好んで用いている湿式クラッチ式の9段ATだが、先代のリア・デフ前に配置したトランスアクスルではなく、エンジンの直下に置かれている。また、これも新型GTの特徴となるが、現行SLと同様に4WDの「4マチック+」が標準となった。駆動力配分は50:50〜0:100の間で連続可変する。なお、0-100km/h加速と最高速度はGT55が3.9秒と295km/h、GT63が3.2秒と315km/hだ。



油圧制御サスペンションで走りをレベルアップ

サスペンションは前後ともマルチリンク式で、5つのリンクをすべてホイール・リム内に収める。バネ下重量軽減のため、リンクやホイール・キャリア、ステアリング・ナックルは鍛造アルミを使用した。後輪操舵が標準で備わり、タイヤ・サイズはフロントが295/35ZR20、リアが305/35ZR20となっている。

ダンパーは前後とも、左右の伸び側と縮み側を油圧経路でつなぎ、ポンプと切り替えバルブの圧力制御で、機械式スタビライザーに代わってアクティブにロールを制御する「AMGアクティブ・ライド・コントロール」をSL同様に搭載。状況に応じて快適な乗り心地とダイナミックな走りをもたらす。また、この油圧システムを用いてフロントの車高を30mm引き上げ、段差などをクリアしやすくする機能も備える。

SLと機能面を共有しつつ、ボディを大型化するとともに4シーター化するなど、走りの性能だけでなく実用性への配慮を強めた新型AMG GT。今度こそ、最大のライバルとなるポルシェ911にひと泡吹かすことができるだろうか。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement