2023.08.24

CARS

100万ポンド(約1億8700万円)で10台生産 ロータスがお蔵入りしたレーシングカー、タイプ66が蘇る

ロータスが1960年代後半に企画したものの、実現させることができなかったレーシングカー、「ロータス・タイプ66」を10台限定で生産する。

1960年代後半のカンナム・レース用

アメリカで開催されたモントレー・カー・ウィーク内の「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」で世界初公開されたタイプ66は、1960年代後半にアメリカのカンナム・レース・シリーズへの参戦を想定して設計された。1970年にデビューしたロータスのF1マシンであるタイプ72に通じる技術が用いられながら、図面やスケールモデルの段階に止まっていたクルマを、現代の技術で再構築している。



最新の技術で空力性能を向上

タイプ72と同じく、ラジエーターはボディのサイドにマウント。フロント・ウイングは、車体前方からリア・ウイングの下へ気流を導く設計で、車体後部は当時のル・マン24時間用のマシンに似た空力設計を採用し、ダウンフォース向上に寄与する。

ロータスのデザイン・チームはロータスの創業者であるコーリン・チャップマンの息子クライブ氏からを提供された1/4と1/10の図面をデジタル化。さらに数値流体力学作業に1000時間以上を費やすことで空力性能を向上させ、241km/hで800kg以上、最高速時には車体総重量以上のダウンフォースを発生するに至った。



オリジナルを活かしつつ、近代化

また、現代の安全基準に適合するべく各部を再解釈。アルミ製の押出成形材やハニカム・パネルを用いたシャシーはカーボン・ボディをまとい、近代化されたコクピットやインボード・タイプの安全燃料タンク、モータースポーツ用パワーステアリングやシーケンシャル・トランスミッション、ABS、アンチストール・システムなどの新機能も内包している。ボディ・カラーは、60年代後半にF1でいち早くロータスが導入したスポンサー・カラーであるゴールドリーフ・カラーを思わせる赤、白、金のコンビネーションだ。

エンジンは、当時の象徴的なV8プッシュロッド(OHV)をミドシップにマウントし、カンナム・マシンらしいトランペット型エア・インテークが天に向かって突き出す。その内部にはアルミ鍛造のクランクやピストン、コンロッドなど最新技術を用いたパーツが組み込まれ、最高出力862ps/8800rpm、最大トルク746Nm/7400rpmを超える性能を発揮するべくチューニングされた。



有名サーキットでテストを実施

車両テストはアメリカ・ラグナ・セカやイギリス・シルバーストーン、ベルギー・スパ・フランコルシャン、そして富士スピードウェイなど、世界の名だたるサーキットで実施。現代のGT3レースマシンに匹敵するラップタイムを記録しているという。

発表の場には当時ドライバー候補の最右翼に上がっていたというレジェンド、エマーソン・フィッティパルディ氏が主賓として招かれ、お披露目に華を添えた。記念すべき創立75周年にあたり蘇る「失われたロータス」タイプ66、その価格は100万ポンド(約1億8700万円)を超えるとのことだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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