メルセデス・ベンツがEセグメント・サイズを持つSUVタイプの電気自動車＝バッテリーEV（BEV）、「EQE SUV」を発売した。導入されるモデルは、「EQE350・4マチックSUV」と、AMGモデルの「AMG・EQE53・4マチック＋SUV」の2タイプとなる。
EQシリーズのデザイン言語を継承
すでに発売されている兄貴分のEQS・SUVと同じイメージで仕立てられたエクステリア。フロントまわりでは通常はグリルが備わる位置にセンサー類をカバーするブラックパネルを装着。パネルには立体的なスリーポインテッドスターとバックライト付き光モジュールが備わる。ボンネットはフェンダー部まで一体のオーバーラップ型で、上部に設けられたパワードームと呼ばれる2本の隆起したラインが躍動感を演出している。
2タイプともにAMGルック
「EQE350SUV」はAMGラインエクステリア仕様で、左右エアインテークとフリックを拡大したフロント・バンパ―を装着。AMGモデルの「EQE53SUV」は上部にライトバンドを配したAMGバッジ付きの専用ブラックパネルのほか、ハイグロスブラックのスプリッターやフリック、Aウイングを装着する。
緩やかに傾斜したAピラーからリア・スポイラーまで円滑に続くフォルムや格納式ドア・ハンドル、ベルトラインに配置したドア・ミラー、下部が気流を後輪の後方へ導くようデザインのランニングボードなど空力性能に配慮したデザインを採り入れることで空気効力係数（Cd値）0.25という優れた数値を実現した。
ホイールベースはSクラス級
リアまわりは曲線的な螺旋構造で立体的に光るテールライトと左右を繋ぐライトバンドを装備。テール・ゲートはバンパーと連続した形状で、アンダー・ボディには空力を考慮したスポイラー・リップが設けられている。
ボディ・サイズは全長×全幅×全高＝4880×2030×1670mmで、ホイールベースは3030mm。EQS SUVと比べると全長は255mm、ホイールベースは180mm短い。
3つの画面を用いたMBUXハイパースクリーン
インテリアは運転席前、助手席前、中央の3面にディスプレイを備えたダッシュボードを1枚のガラスで覆ったMBUXハイパースクリーンをEQE53に標準装備。フローティング・タイプのセンターコンソールは前部がダッシュボードと連続したデザインだ。メーターパネルは円型2眼タイプのグラフィックで、その間に配した情報ディスプレイの表示スタイルはEQE350が7種類、EQE53が8種類となる。
シートは、EQE350が本革のスポーツ・シート、EQE53がサイドサポートの張り出しが大きいAMG専用ナッパレザー・シートを装着。内装トリムはEQE350がダッシュボード一面にスリーポインテッドスターを散りばめたレーザーカット・バックリット・インテリアトリム、EQE53がセンターコンソールにウッドを用いたアンスラサイト・ライムウッド・センタートリムとなる。後席は40：20：40分割可倒式で、荷室は5座使用時で520リッター、最大時には1675リッターに達する。
EV専用プラットフォームを採用
プラットフォームはEQSやEQE、EQS・SUVと同じBEV専用タイプを採用。モーターは2タイプともに前後各1基で4輪を駆動。システム総合出力はEQE350が292ps/765Nmを発生し、 WLTCモード航続距離は528km。なおEQE53の型式認証申請中で、諸元は未発表だ。
バッテリー容量は2タイプともに89kWhで、普通充電は6.0kWまで、急速充電は150kWまで対応。急速充電での10％から80％までのチャージ時間は50kW充電で102分、90kWで54分、150kWで49分。日本仕様はV2H/V2Lといった外部給電機能が備わる。
また、効率向上のためにディスコネクトユニットが新たに採用された。これは前輪の駆動系にアクチュエーター作動のクラッチを組み込み、状況に応じて前輪をフリーにして抵抗を減らし、電力消費を低減するメカニズムだ。また、回生ブレーキは減速度を3段階設定し、自動で最適化するモードも備える。暖房はヒートポンプ式でバッテリーの排熱を利用する。
日本仕様は右ハンドルのみで、価格はEQE350・4マチックSUV が1369.7万円、AMG・EQE53・4マチック＋SUVが1707万円となっている。
文＝関 耕一郎
（ENGINE WEBオリジナル）
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